深夜に見てはいけない?究極の「飯テロ」映画

グルメ

深夜食堂
出典:http://mdhmart.exblog.jp/

「飯テロ」という言葉をご存知でしょうか?「食欲をそそる料理の映像を流す事で、それを見た人間の食欲中枢を刺激し、空腹感を抑えられなくするテロ的行為」とでも訳しましょうか。ここでは、とにかく美味しそうな料理・食事のシーンが頻繁に登場する作品、即ち「飯テロ映画」を5本ご紹介しましょう。

世界中の絶品料理を「エア美食」できる作品『99分,世界美味めぐり』

これぞ究極の「飯テロ」映画と言えるでしょう。ストーリーなんか特になし!超一流のカリスマシェフ達から厚い信頼を得ている5人の著名美食家が、世界中の名店で最高の料理を食べまくる映画です。但し、名店と言っても都会のスタイリッシュな店から中国の山奥にある店まで、バラエティに富んだセレクトで29店を厳選。普段は絶対に撮影不可能な超一流シェフの厨房や、彼ら独特の食に対するこだわりを語ったり、時には遠慮なくシェフと激論を交わすシーンなど、お互い確固たる信頼関係があるからこそ見られる貴重な映像が盛りだくさんです。
見終れば世界中をグルメ旅行した気分になれるこの作品、普段はなかなか味わえない絶品料理の数々を、ぜひ”エア美食”してみてください!

『99分,世界美味めぐり』で紹介された日本の名店「鮨さいとう」

鮨さいとう
出典:http://ameblo.jp/
「鮨さいとう」カウンター席(8席)

齋藤店主
出典:http://www.theclassifiedsplus.com/
笑顔が絶えない、店主の齋藤孝司氏

『99分,世界美味めぐり』では、日本からも鮨さいとう(東京)・神保町 傳(東京)・都寿司(東京)・菊乃井(京都)の4店が紹介されています。中でも”日本一の寿司店”と言われているのが「鮨さいとう」です。
ミシュランの三ツ星を6年連続で獲得し、半年先まで予約がとれないほどの人気店。ネタの素晴らしさは言わずもがなですが、「久兵衛」などの超有名店で修業を積んだ店主が一手間かけた逸品の数々は、まさに”日本一”の名に恥じない究極の美味です。
そして何より素晴らしいのは、店主の齋藤孝司氏の人柄でしょう。「名店」と言えば敷居が高く、気難しい店主がいる店も多い中、何と気さくな事か。常にウイットに富んだ会話と、笑顔が絶えない接客は、本当に心地よく「是非また来たい!」と思わせてくれます。と言っても、次の予約は半年近く先になるのですが。

■店舗データ
所在地:東京都港区六本木1-4-5 アークヒルズサウスタワー1F
TEL:03-3589-4412
営業時間:12時~14時/17時~23時
定休日:日祝日(連休にならない祝日は除く)
席数:8席+個室7席

「飯テロ」の言葉を世に広めた作品。『深夜食堂』

深夜食堂
出典:http://mdhmart.exblog.jp/

路地裏でひっそりを営業している小さな食堂「めしや」は、深夜0時に開店するため「深夜食堂」とも呼ばれていました。寡黙だが人間味あふれるマスター(小林薫)の人柄と美味しい料理に惹かれて、今宵も様々な客がやってきます。悩み・哀しみ・苦しみなどを抱えたワケありのお客とマスターが織りなす悲喜こもごもの心温まるエピソードは、観る者をほっこりした気分にさせてくれます。
同名の大人気漫画を原作に2009年にテレビドラマ化され、深夜の放送ながら人気を呼び、「飯テロ」の言葉を生んだとも言われた作品の映画化。マスターが作る、高級ではなく家庭的で懐かしい料理は、時間を問わず食欲をかきたてる事間違いなしです。

『深夜食堂』のメニューを家庭に!

深夜食堂本
出典:http://www.amazon.co.jp/

『深夜食堂』をはじめとして、NHKテレビ「ごちそうさん」や『かもめ食堂』『南極料理人』など、数々の作品でフードスタイリストを務めた飯島奈美氏が、『深夜食堂』のレシピを再現。30品近いレシピがありますが、家庭料理だけに非常に簡単なメニューです。ただ、それぞれの料理に必ず飯島氏の絶妙なアレンジが施されているのがポイントで、単純なレシピ本ではなく、簡単料理をワンランクアップさせる工夫が詰まっています。

伊丹ワールド全開のラーメンウェスタン『タンポポ』

タンポポ
出典:http://plusblog.jp/3975/

今は亡き名匠、伊丹十三監督の『タンポポ』。
さびれたラーメン屋「来々軒」に、たまたま訪れたトラック運転手ゴロー(山崎努)が、ひょんなことから店主の未亡人タンポポ(宮本信子)に美味しいラーメン作りを教える事になり、二人で繁盛店を目指すというのがストーリーの柱です。伊丹監督が「ラーメンウェスタン」と名付けただけあって、「悪いラーメン屋」「ラーメン屋の心がけ」など、ラーメン好きなら知っておきたい薀蓄が散りばめられているのですが、その一方で、伊丹監督らしい奇想天外な演出の数々に驚かされます。特に、メインストーリーとは全く関係のない「食」に関するエピソードが13個も挿入されている事はあまりにも斬新で、いきなりカットインされるエピソードに最初は戸惑います。でもそれぞれが非常に印象に残る秀逸な内容で、徐々に伊丹ワールドの深みにハマっていくのです。

『タンポポ』から生まれたオムライスを知っていますか?

タンポポ オムライス
出典:http://www.geocities.jp/
タンポポオムライス

グルメ番組でよく見かける、チキンライスに半熟のオムレツをのせてナイフで切り開くオムライス。実はこの方法は、伊丹監督の発案をきっかけに、日本橋の名店「たいめいけん」が作ったのが始まりなのです。同店では現在でも人気メニューの一つで、その名も「タンポポオムライス」。今ではどこの店でもよく見られるメニューですが、原点は伊丹監督の発想力から生まれたものだったのですね。もちろん作品内にもこのオムライスのエピソードが登場します。

30代のシングルマザーが自立を目指して奮闘します!『のんちゃんのり弁』

のんちゃんのり弁
出典:http://cinema.pia.co.jp/topics/2097

のんちゃんのり弁2
出典:http://blog.goo.ne.jp/
劇中に登場する「三色のり弁当」

入江喜和の同名漫画を原作として、2009年に映画化された作品。
定職につかないダメ亭主(岡田義徳)と別れる為に家を出た原小巻(小西真奈美)は、娘・乃里子(のんちゃん・奥田佳菜子)と2人で実家へ戻り、生活の為に職探しを始めます。しかしこれといったキャリアのない彼女が簡単に就職口を見つけられるわけもなく、途方にくれていた時、娘の為に毎日作っていたのり弁当が幼稚園で大評判になります。これをきっかけに一念発起した小巻は、お弁当屋を開こうと決意し、小料理屋の店主(岸部一徳)に弟子入りを志願するのですが…。
何度も登場する美味しそうなお弁当に、強烈に食欲をそそられながらも、30歳を過ぎたシングルマザーが、自立を目指し、数々の挫折を乗り越えながら、強い意志で前向きに生きていく姿を見ると、思わず応援したくなる、同世代の女性には間違いなく共感を得られる作品です。

ゆるーく、穏やかに時が流れる作品『かもめ食堂』

かもめ食堂
出典:http://kmc.sitemix.jp/

かもめ食堂 おにぎり
出典:http://oninigi.com/
『かもめ食堂』のイチオシメニュー、おにぎり。

フィンランドの首都、ヘルシンキの街はずれの一角にオープンした「かもめ食堂」という小さな食堂を舞台に、女性店主のサチエ(小林聡美)と、後に一緒に働くことになるミドリ(片桐はいり)、マサコ(もたいまさこ)や一風変わった客達との出会いを、クスッを笑えるユーモアたっぷりに、ゆるーく描いた作品です。
特に大きな事件が起きることもなく、淡々と時が流れていきますが、全編に不思議な可笑しさが漂っていて、飽きる事なく楽しめます。こういう映画にはベストキャスティングとも言える3人(小林・片桐・もたい)を配した事が、この作品の成功につながっていると言えるでしょう。
『かもめ食堂』のイチオシメニュー、「鮭やおかかのおにぎり」を見ると、たまらなく食べたくなってキッチンに立つ人も多いでしょう。やはり”おにぎり”は永遠に日本のソウルフードですね。

『かもめ食堂』ロケ地のレストラン

かもめ食堂 ロケ地1

かもめ食堂 ロケ地2
出典:http://sutekiwld.exblog.jp/17434644/
『かもめ食堂』のロケを行った店「カーヴィラ・スオミ」

かもめ食堂 シナモンロール
出典:http://blogs.yahoo.co.jp/
「カーヴィラ・スオミ」のシナモンロール

『かもめ食堂』は、全編フィンランドロケで撮影されました。店舗のロケを行ったのが、現在「Kahvila Suomi(カーヴィラ・スオミ)」という店名で営業されているレストランで、地元の人気店として多くのお客さんで賑わっているようです。入口にある店名のロゴの下には、今でも『かもめ食堂』の文字が残されており、この作品がフィンランドでも公開されたこともあって、お店の人気の一因となっているのかもしれません。人気メニューはおにぎり…ではなく、やはり北欧という事でサーモンが人気のようです。
また、『かもめ食堂』繁盛のきっかけとなった「シナモンロール」は、もちろんメニューに入っており、来店した人はほとんどが注文されるとか。開店直後に行くと、焼きたての温かいシナモンロールが食べられるそうです!