CinemaGene(シネマジーン)

映画をきっかけに、女の子の毎日をドキドキワクワクさせる

推せるジブリ男子!“本庄”に注目して観る『風立ちぬ』

意外な茶目っ気

二郎と本庄は大学卒業後、名古屋の会社で航空技術者の仕事に就き、同僚となります。4月になってから初出勤したらしい二郎に対して、本庄は3月の内から会社に出向いていたらしく既に職場になじみ始めているようで、どこかのんびりしている二郎と対照的な彼の性格を象徴しているようです。本庄よりも遅れての初出勤となった二郎は、部署の同僚たちに挨拶をします。その時、二郎の向かいのデスクに座っている本庄がそっとウインクを投げてくるのです。映画序盤から皮肉っぽい態度や言葉選びが多い本庄ですが、ここで意外にお茶目な顔をのぞかせます。顔のデザインも似ていると書きましたが、こんなところもちょっと『紅の豚』のフェラーリンみたいですよね。

「それでも俺は、与えられたチャンスを無駄にしないつもりだ」

就職後も一緒に昼食を食べるなど、共に過ごすシーンが描かれる二郎と本庄。また、同じアパートに住んでいるのか、仕事の後に二郎の部屋へ本庄がさらりとやってきたりもします。

二郎が隼の試験飛行に立ち会った日、帰り道で店に立ち寄りシベリアを買い求めます。この時既にあたりは暗くなっていますが、店の近くに親の帰りを持つ小さな子供の姉弟がいるのに気が付いた二郎は、買ったばかりのシベリアを子供たちに与えようとしました。しかし小さな姉弟は受け取ることをせずに立ち去り、二郎はその場にしばし立ち尽くすのです。

帰宅した二郎がアパートの自室で寝ていると、本庄が隼開発中止を聞きつけてやってきます。テーブル上の包みを開けながら「シベリアか、妙なもの食うな」と言う台詞からは、鯖ばかり食べている二郎の好みになんやかやと言っていた本庄らしさを感じます。

その後、シベリアを食べながら二郎から小さな姉弟との出来事を聞いたらしい本庄は「そりゃあ偽善だ!おまえ、その娘がにっこりして礼でも言ってくれると思ったのか!」と言い放ちます。むっとした二郎は即座に否定するものの、すぐに「いや、そうかとしれない」と勢いを失います。

続けて本庄は「腹を減らしてる子供なら、この横丁だけでも何十人もいる!隼の取り付け金具一個の金で、その娘の家なら一月は暮らせるよ。」「二郎、今回の技術導入でユンカース社にどれだけ金を払うか知ってるか。日本中の子供に天丼とシベリアを毎日食わせてもお釣りが来る金額だ。それでも俺は、与えられたチャンスを無駄にしないつもりだ。」と同情でひとりの子供を救おうとしても根本的な解決にはならないという現実、さらにそのような国の貧しさという問題を知り憂いていながらも自身の夢の道を進むという自分たちの矛盾を二郎につき付けます。

「貧乏な国が飛行機を持ちたがる。それで俺たちは飛行機を作れる。矛盾だ。」とニヤッと笑う本庄。その表情も、本質をつく台詞も、非常に印象的ですね。そして「明日東京へいってくる。嫁をもらうんだ。」「本腰を据えて仕事をするために所帯をもつ。これも矛盾だ。じゃあな。」と言い残して部屋を出ていきます。理想の中で美しいものを見つめながら生きているような二郎に対し、現実的で、自身の矛盾も真っ向から受け止めている本庄。ふたりの対照的な性格が際立つシーンです。

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