高校銃乱射事件の被害者家族と加害者家族との緊迫した対話を描いた映画 『対峙』…試写会に参加してきました✨

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アメリカの高校で、生徒による銃乱射事件が勃発。

多くの同級生が殺され、犯人の少年も校内で自ら命を絶った。

それから6年、今田の息子の死を受け入れられないジェイとゲイルの夫妻は、加害者の両親であるチャードとリンダに会って話をするという驚くべき行動に出る。

話し合いの場所は教会の奥のちいさな個室、立会人は無し。

「お元気ですか?」と、古い知り合い同士のような挨拶をぎこちなく交わす4人。

そして遂に、ゲイルの「息子さんについて何もかも話してください」という言葉を合図に、誰も結末が予測できない対話が幕を開ける――。

2023.2.10(金)公開『対峙』禁断の対話がもたらすスリルと衝撃――|特報



ほぼ全編、密室4人の会話だけで進行するにも関わらず、どんなスリラーにも勝る緊迫感に満ちた展開によって、本作は英国アカデミー賞をはじめ各国の映画賞81部門でノミネート、釜山国際映画祭フラッシュフォワード部門観客賞をはじめ43映画賞を受賞。

映画批評サイトRotten Tomatoesでは、批評家95%・観客90%を叩き出し、大絶賛された注目の衝撃作です!

不寛容やリアルな人間関係の希薄さが問題視される現代社会で、〈被害者と加害者の対話〉という極めて重くセンシティブなテーマを圧倒的な臨場感とスリルで描き切る傑作が、2023年2月10日(金) TOHOシネマズ シャンテ他にて全国ロードショーです!


入念なリサーチによって編み上げられた台詞の応酬、命を奪われた側奪った側の人生のすべてをかけた対話とは?


回想シーンを使わない現在進行形の会話だけの脚本



1秒先に地雷が埋められているかのようなスリルと洞察力にとんだ脚本を書き上げ、初監督も務めたのは、『キャビン』やTVシリーズ「ドールハウス」などに出演、俳優として活躍しているフラン・クランツ氏。

幼い娘を持つ彼は、2018年にパークランドの高校で実際に起きた銃乱射事件のニュースで泣きながらインタビューに答える父兄の言葉に激しく動揺し、学校内銃撃事件について深く掘り下げるようになります。


そして、様々な報告書を読むうちに、銃撃犯の両親と犠牲者の両親との会談に関する記述に出会います。

脚本執筆に取り掛かったクランツ監督は、「赦し、深い悲しみ、喪失、和解、そして最終的には人間同士の繋がりが持つ力という、複数のテーマを探究したいと思った」と語りました。

悲しみの解決策として、赦しは最善のものになるのか。当事者たちを等しく救うのか。そこに利己的な側面や取引的な側面はあるのか。和解に至るプロセスとして、赦しよりも良いものはあるのか。また、悲しみは完全に去ることなく、ただ形を変えていつまでもつきまとうのかを探究したかった。



クランツ監督は最初から、登場人物たちの会話が中心になるとわかっていました。

また、重くデリケートな主題であるため、話が脱線したり理路整然としていなかったりという現実世界の会話に忠実で、自然主義的なアプローチをすることが必要だと考えました。

そして会話のすべてが、スクリーン上にリアルタイムで展開していくようにしたかったといいます。


回想シーンや便利な映画的手法を使わないことで、彼らに敬意を表したいと思った」とクランツ監督は説明します。

4人の会話だけで、それぞれの息子の成長から過ごしてきた青春の日々、家族との関係、さらには銃乱射事件の現場の状況までが、まるですぐ側で目撃しているかのような奥行きのある脚本となっています。

銃撃事件によって人生を断裂された時に 4人が経験したことや、事件が彼らの心理や結婚生活に与えた影響をクランツ監督が理解する上で、彼が幅広いリサーチを行ってきたことが役に立ちました。

そのリアルな臨場感は緻密で入念なリサーチの賜物といえます。



最難関の役だからこそ順当に決まった 4 人のキャスティング



息子との関係を心から悔やみながらも、彼も苦しんでいたと訴える父・リチャードを演じるのは、TVシリーズ「ハウス・オブ・カード 野望の階段」のリード・バーニー

脚本を受け取ったバーニーは、「リチャードにしてみれば、この会談はかさぶたに触るようなものだ。後悔の念や解消されていない痛みを抱えながら生きているリチャードが、本当に痛ましいよ。」と語っています。


罪を犯した息子への愛は消えないことに悩み抜き、隠し続けたある出来事を告白する母・リンダに、『ヘレディタリー/継承』のアン・ダウド

何層にも重なった母親の心理に分け入る本作の演技で、英国アカデミー賞にノミネートされました。


事件を論理的に解明しようと最も冷静かつ客観的に振る舞っていたが、思わぬ感情があふれ出す父・ジェイには、世界的大ヒットシリーズ『ハリー・ポッター』のジェイソン・アイザックス

息子の短かった人生に何とか意味を見出そうとするあまり過去から逃げられなくなる母・ゲイルに、『グーニーズ』のマーサ・プリンプトン


演技を極めたベテラン俳優たちが、互いの役への想いから自らのプライベートな体験までをリハーサル中に深く語り合い、一触即発の台詞の応酬に命を吹き込みました。

数々の映画賞でアンサンブル賞を獲得した演技は、人間の複雑さと脆さを余すところなく表現し、観る者の胸を打ちます。


果たして、最後に4人と共に流れ着く、観る者すべてが初めて体感する境地とは──。



一足先に試写会にて鑑賞してきました✨


あらすじだけしか知らない状態で観たので、けっこう暴力的なシーンがあるのかなと覚悟をしていたのですが、本作には回想シーンがなく、ほとんどが同じ室内での撮影で、残虐、グロテスクな映像がないので、そういった場面が苦手な方でも鑑賞できる映画だと思います。

徹底的に加害者・被害者側の家族の感情を描いた映画で、まるで自分がその場にいるかのような臨場感のある映画です。

そして、ほとんどが両者の会話のみで成立しており、俳優陣の演技力の高さに驚かされます。

実際の話し合いの現場かと思うほど緊迫した空気感、それぞれの立場での表情や感情の高ぶりなど迫力がすさまじく、作品を観ている側も終始ハラハラします。


また、話し合いが始まるまでは、加害者側・被害者側がどちらなのかがわからず、そこも見どころではないでしょうか。

銃乱射によって息子を失った両親のやりきれない無念さや悲しみははかりしれませんが、一方で、息子が加害者となってしまった両親も息子を失っているわけですから、どちらの親にしても”息子を失った悲しみ”は同じで、そこに優劣はないと思います。

この作品を観るにあたり、両親側の視点で観るのと、自分が息子側になった気持ちで観るのとでは、感想や抱く感情がかなり変わりますので、何度か観たい作品だなと感じるとともに、見終わったあとはかなりぐったりしました(笑)。


ネタバレになってしますので、言えませんが本作品のラストは少しだけ心が救われるような気持になりました。

話し合いで平行線の部分もあったけれど、この対話は事件当時のままだった4人を確実に前進させたと思います。


実際にアメリカでは銃乱射事件の件数は増加件数にあるといい、昨年の1年間だけで、600件以上の銃撃事件が起きています。

またこれは遠い国の話ではなく、日本でも無差別殺人事件や、大きくとらえればいじめによる自殺などにも同じことが言えるのではないかと思います。


それらのニュースをただ流れていくだけの情報として観るのではなく、事件・事故の加害者や被害者側の気持ちを考え、自分がなにか行動する前にすこしでもそれらを思い出すことが私たちにできる社会の改善策であるのかなと感じました。



命を奪われた側奪った側の人生のすべてをかけた対話を描いた、映画『対峙』は2023年2月10日(金) TOHOシネマズ シャンテ他にて全国ロードショーです!



STORY

美しい並木通り沿いに建つ小さな教会の一室で、ある会合が開かれようとしていた。

仲介役の女性は、部屋の細部までチェックし、椅子やティッシュ箱の位置を変える。

やがて二組の男女が到着し、「お元気ですか?」「おかげさまで」と、久しぶりの再会の挨拶が、ぎこちなく交わされる。


仲介役が部屋を出て行き、当たり障りのない会話から始める4人。

やがて「会ってくださり感謝します」と、ジェイ(ジェイソン・アイザックス)が本題に入ろううとする。

彼に促されて、傍らの妻のゲイル(マーサ・プリンプトン)は、娘と息子の写真を取り出し、机の向かい側に座るリンダ(アン・ダウド)とリチャード(リード・バーニー)に見せる。

今は離れて暮らす元夫婦のリンダとリチャードは、「美しい娘さん」などと称賛の言葉を口にする。

だが、「最後のクリスマスよ」と渡された家族写真を見たリンダは、突然、涙を流して取り乱すのだった。


部屋の空気は一瞬で一変し、4人の顔から跡形もなく微笑みが消え去る。

緊張感に満ちたかみ合わないやり取りの後、ゲイルが「息子さんについて覚えていることを話してください。何もかも」と、今日の会合の本当の目的を口にする。

反射的に「なぜ?」と尋ねるリチャードに、「うちの息子を殺したからよ」と答えるゲイル。

さらにジェイが、「我々は起きた理由を知りたい。なぜ、こんなことが……それを聞く必要がある。力になっていただきたい」と強く求めるのだった。


リンダは二人の願いに、「もちろんです」と応じる。6 年前、アメリカのある高校で、生徒による銃乱射事件が起きた。

自らの命も絶った犯人の少年がリンダとリチャードの息子で、殺されたのがゲイルとジェイの息子だった。


それぞれが、「冷静に」「心を込めて」「正直に」と胸に誓うも、すぐに 4人の対話からは、後悔、悲しみ、怒り、絶望が奔流する。

果たして、この〈対峙〉の行く先は──?

監督・脚本:フラン・クランツ 『キャビン』 (出演)
出演: リード・バーニー  アン・ダウド ジェイソン・アイザックス マーサ・プリンプトン
2021 年 / アメリカ / 英語 / 111 分 / カラー / ビスタ / 5.1ch / 原題:MASS / 日本語字幕:松浦美奈
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