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2015年に誕生60周年を迎えた世界的な人気キャラクター「ミッフィー」。年齢性別を問わず心惹かれる、ミッフィーの優しい魅力を詳しくご紹介します。
ミッフィーの生みの親、ディック・ブルーナってどんな人?
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1927年オランダ・ユトレヒト生まれ。子供の頃から絵を描くのが大好きだった彼は、父の書棚にあったゴッホなど著名画家の画集を見て衝撃を受け、父が経営する出版社(現在のブルーナ社)の専属デザイナーから絵を学ぶようになりました。やがて父の反対を押し切って高校を退学、他国で研修を続け、1947年に20歳でオランダに帰国。ブルーナ社の経営を引継ぐ事を望む父を説得し、アーティストとして生きていく事を決意します。その後ブルーナ社の専属デザイナーとして働くことになった彼は、1953年に結婚、この頃初めて「りんごちゃん」という絵本を出版します。そして2年後の1955年に発表した「ナインチェ」という、うさぎを主人公とした絵本が、現在のミッフィーの原型となりました。この絵本は全世界40ヶ国以上で翻訳され、今や世界的なキャラクターとして確固たる人気と地位を築いています。
ブルーナ氏は現在88歳ですが、昨年7月、2011年に創作活動を引退していた事が発表されました。
これがミッフィーのルーツ「ナインチェ」です。
1955年に発表された「ナインチェ」の絵がこれです。現在のミッフィーの面影がありますね。正式には「ナインチェ・プラウス」という名前ですが、「ナインチェ」は小さいうさぎ、「プラウス」はふわふわを意味します。息子さんがぬいぐるみのうさぎで遊んでいるのを見ながらスケッチしたのがこの絵だったそうです。
「ミッフィー」の誕生と和訳版の発売。
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「ナインチェ」発行から5年後の1960年、英語版翻訳の際、英語名として初めて「ミッフィー」と名付けられました。3年後の1963年、ブルーナは「ナインチェ」を描き直し、現在のミッフィーのフォルムが完成します。そして翌年、福音館書店から日本訳版「ちいさなうさこちゃん」が発売され、大人気を博しました。やはり今のミッフィーの方がかわいいですね。
ミッフィーはいつもあなたを見ています。
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ミッフィーは、何をしている時でも正面を向いているのをご存じでしょうか?ブルーナ氏は「ミッフィーはいつも本と向き合っているあなたのことを見ているのです」と語ります。本を読む子供たちが持つ喜び、悲しみとしっかり向き合い、目をそらさず、純粋な心に正直に応えたいという彼の熱い想いが伝わってきます。
「いつも正面を向いている」ミッフィーが出現!
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先に述べた「いつも正面を向いているミッフィー」が絵本から飛び出しました。オランダの有名デザイナーRichard Hutten氏がデザインしたこの作品。賛否両論あると言われる通り、なかなか斬新なフォルムですね。
「ブルーナカラー」のこだわり
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ブルーナ氏の最も有名なこだわりとして、白黒以外では使用する色が6色のみという点があります。元々は赤・黄・靑・緑の4色だったのですが、メラニーや象など、新しいキャラクターを描くために茶・灰色を追加しました。それぞれの色には意味があり、(赤=幸せ・喜び)(黄=楽しさ・明るさ)(靑=悲しみ・寒さ)(緑=安心・自然)を表しています。ただ、よく見ると、原色と色味が違う事に気づきます。例えば「赤」といわれる色も少しオレンジがかって見えますね。ブルーナカラーは、原色に少量の暖色を混ぜる事によって色に温かみを出しているのです。ミッフィーの絵本を見ると心が温まるのは、ブルーナの色へのこだわりが大きな要因となっているんですね。
ミッフィーのお顔の×の意味は?
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ミッフィーのお父さん、お母さん
ミッフィーのお顔の×は口なの?鼻なの?子供なら必ず、いや大人でもぶつかる大きな疑問ですが、オフィシャルページのQ&Aにその答えが書かれています。結論は「鼻と口を両方表現したもの」。ブルーナ氏は小さい頃うさぎを飼っていて、彼が見たうさぎの顔そのままに描いたのがミッフィーの顔になったそうです。彼独特の感性があのかわいい「×」を生み出したのですね。ちなみに、ミッフィーの両親など、大人を描くときは「×」に横棒が一方加わります。これは年齢を重ねた事でできた「シワ」を表現しているそうです。
ちゃんと口は開きます!
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ミッフィーの「×」は開くことはないと思っている方も多いようですが、歌ったり驚いたりすると、ちゃんと開くのです!ただ、この絵を見ると、「鼻はどこへ?」と思ってしまいますが…。まあ、堅いことは言わないで、かわいければOKですね!
ミッフィーが流した涙…
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2011年3月11日に発生した東日本大震災は、多くの人の命を奪っただけでなく、助かった子供たちの心にも大きな傷を残しました。その震災からわずか2週間後の3月27日、新聞の朝刊に涙を流すミッフィーの姿が掲載されます。それは傷ついた子供たちに対するブルーナ氏からの贈り物でした。ミッフィーが大粒の涙を流したこのイラストは、あえてブルーナカラーをつけずに描かれ、「愛する人との別れは悲しいことです。それでもあなたの人生はこれからも続いていくんだよ」という彼のメッセージが込められていました。常に子供に寄り添っている彼の想いが伝わってきます。
2015年はミッフィー誕生60周年!
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ミッフィー誕生60周年のロゴ
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ツール・ド・フランスの各賞ジャージカラーの服を着たミッフィー
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旧ディック・ブルーナ・ハウスの外観
ブルーナが「ナインチェ」を発表してから60周年となる2015年、世界各地で様々なイベントが開かれています。世界最大の自転車レース「ツール・ド・フランス」のスタート地点に、ブルーナの故郷ユトレヒトが選ばれ、ミッフィーがPRに一役買いました。また、同じくユトレヒトのセントラール・ミュージアムの向かいにあった「ディック・ブルーナ・ハウス」は現在改修中で、2016年2月、新たに「ミッフィー・ミュージアム」としてオープンする予定です。
日本では60周年記念「ミッフィー展」を開催
出典:http://www.museum.or.jp/modules/topics/?action=view&id=637
誕生60周年記念ミッフィー展より
日本でもミッフィー誕生60周年を記念して「ミッフィー展」が開催されています。2015年4月、東京を皮切りに、2016年10月まで全国を巡ります。1955年にブルーナが初めて描いたミッフィーや、直筆の原画、スケッチなど、貴重な品が多数展示されており、ミッフィーファンなら絶対に見逃せないイベントです。
そして未来へ…被災地に「ミッフィーカフェ」がオープン!
出典:http://www.asahi.com/articles/photo/AS20151222000627.html
「ミッフィーカフェかまいし」の外観
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「ミッフィーカフェかまいし」で提供される料理・スイーツ
12月23日、東日本大震災の被災地岩手県釜石市に、国内唯一のミッフィー公認カフェ「ミッフィーカフェかまいし」がオープンしました。先にご紹介したイラスト「ミッフィーの涙」。「モノクロのミッフィーが本来の色を取り戻せるように、被災地も彩りを取り戻そう!」という想いがカフェの実現につながりました。ミッフィー誕生70周年を迎える10年後には、被災地が完全復興し、子供たちも素晴らしい成長をとげている事を願わずにはいられません。