​ジャズからクラシックまで。映画音楽界の巨匠 ミシェル・ルグランの生み出す魅惑の世界

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ミシェル・ルグランの名は知らなくても、きっと音楽を聴けば覚えがあるはず。映画音楽はもちろんのこと、CMで耳にすることもあります。
1960年代からは、ルグランの音楽と共に有名になった映画がたくさんあります。最近の作品も含めて、5本紹介しましょう。

ミシェル・ルグランの手がけた音楽


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音楽一家で育ったルグランはパリ国立高等音楽院で学び、1950年代から活動を開始しています。彼が手がけた映画音楽は多々あり、またジャズピアニストとしても有名です。
ピアニストとしてのアルバムでは、マイルス・デイヴィスやジョン・コルトレーンといった大物との共演しています。

ルグランの映画音楽を代表する作品『シェルブールの雨傘』


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フランスの港町シェルブールにある、一軒の傘屋。そこの娘ジュヌヴィエーヴと自動車整備工のギィは、結婚を約束した恋人同士です。ところが、ギィは2年間の兵役に出ることになります。悲しみに暮れるジュヌヴィエーヴでしたが、彼女はギィの子供を身ごもっていたのでした。
そして2年が過ぎギィが戻ってきたとき、ジュヌヴィエーヴはすでに結婚していました。子供を出産したのち、次第に連絡が途絶えてしまったギィを待つことができなかったのです。

1964年に公開されたジャック・ドゥミ監督、カトリーヌ・ドヌーヴ主演のミュージカル映画です。
セリフは一切なく、すべて音楽で表現するという珍しい作品でした。
ルグランの手がけた音楽はたちまち評判になり、カンヌ国際映画祭では最高賞のパルムドールを受賞しました。
特に主題歌は数多くの歌手によりカバーされており、聞けば「あ、この曲知っている!」という人もいるはずです。

見た人を幸せな気分にしてくれるミュージカル映画『ロシュフォールの恋人たち』


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フランスの海辺の街ロシュフォール。ソランジュとデルフィーヌの双子の姉妹は、年に一度の祭りでショウのステージに立ち歌と踊りを披露します。パリにあこがれる二人は、オートバイの曲乗りたちに「一緒に旅をしながら仕事をしよう。」と誘われて出発する決心をします。

1967年、『シェルブールの雨傘』のジャク・ドゥミ監督が、再度ミシェル・ルグランとタッグを組みました。主演のカトリーヌ・ドヌーヴたちが歌う軽快な音楽が印象的です。また、ドヌーヴが実の姉フランソワーズ・ドルレアックと最初で最後の共演をしたことでも有名です。
『雨に唄えば』のジーン・ケリー、『ウエスト・サイド物語』のジョージ・チャキリスも出演しており、ミュージカル映画好きなら見逃せない作品です。

スマートに完璧にこなす盗みの天才の正体は…。『華麗なる賭け』


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大富豪で男前、そして実業家という完璧な男クラウンには、泥棒というもうひとつの顔がありました。鮮やかなテクニックで銀行から200万ドルを盗み出します。
保険会社のビッキーは、彼の犯行だと疑い始めます。しかし、調査をするうちにだんだん二人は愛し合うようになるのです。

1968年に公開された、スティーブ・マックイーン主演のサスペンス映画です。
1999年には『トーマス・クラウン・アフェアー』としてピアース・ブロスナン主演でリメイクされました。
アカデミー歌曲賞を受賞した主題歌「風のささやき」は、イージーリスニングとしても有名です。どこかでこの曲が流れているのを聞いたという人も多いでしょう。

少年の日、ノスタルジックなひと夏の恋『おもいでの夏』

SUMMER OF ''42, from left: Gary Grimes, Jennifer O''Neill, 1971
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1942年。第二次大戦から戦火を逃れてハーミー一家は、ニューイングランドにあるナンタケット島へやってきます。
15歳のハーミーはそこで友人たちと女の子の話に明け暮れます。しかし、彼は海辺で見かけた美しい人妻ドロシーのことが頭から離れませんでした。勇気を出して彼女に近づくのですが、ハーミーは彼女から見ればひとりの少年に過ぎなかったのです。
しかしある日、彼女の家を訪れたハーミーは夫が戦死したと知り憔悴するドロシーを見て立ち尽くします。そして、その夜ハーミーとドロシーは結ばれるのでした。

1971年に公開され、ルグランの切ない主題曲はアカデミー作曲賞を受賞しました。

ルグランが音楽を手がけた最新作『チャップリンからの贈りもの』

スイスのレマン湖畔に住むオスマンは、入院中の妻の医療費が払えない中で娘を育てていました。そんなある日、喜劇王チャップリンが死亡したというニュースを目にします。そこで親友のエディが考えだしたのは、チャップリンの棺を盗み身代金を要求するというとんでもない犯行計画でした。

嘘のようなこの話は実話をもとに映画化されました。チャップリン映画の名シーンが散りばめられ、また、チャップリンの息子と孫娘が出演したことも話題となりました。
グザヴィエ・ボーヴォワ監督がメガホンをとり、『ココ・アヴァン・シャネル』のブノワ・ポールヴールド、『シャドー・チェイサー』のロシュディ・ゼムなどが出演しています。
そしてこの作品でルグランは、チャップリンの代表作である『ライムライト』のテーマ曲を美しくアレンジしています。

『チャップリンからの贈り物』
7月18日 YEBISU GARDEN CINEMA他全国順次公開
©Marie-Julie Maille / Why Not Productions