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【名作プレイバック】柳楽優弥が世界を席巻!映画『誰も知らない』を改めて解説

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柳楽優弥のデビュー作であり、若干14歳でカンヌ国際映画祭最優秀主演男優賞を受賞したことでも有名な『誰も知らない』。2004年に公開された是枝裕和監督の代表作であり、国内外で大変高い評価を得た社会派ドラマです。
子供たちの演技が絶賛され、今もなお名作との呼び声が高いこの作品を紹介しましょう。

名作であり、後味の悪い映画としても有名な衝撃作『誰も知らない』

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出典:http://japachickyburgers.blogspot.jp/

1987年に実際に起きた育児放棄の事件を題材にし、是枝監督が手がけた映画が『誰も知らない』です。衝撃的なストーリーに、世界中で論議が巻き起こりました。

子供たちを捨てた母親にYOUが扮しています。是枝監督は、自然な演技を求めてあえて女優をキャスティングしませんでした。
長男・福島明の柳楽優弥をはじめ、子供たちを北浦愛、清水萌々子、木村飛影が演じています。他に、平泉成、加瀬亮、木村祐一、遠藤憲一などが出演しています。
日を追うごとに過酷な生活を強いられる子供たちが、それでも無邪気に笑顔を見せる様子に胸をうたれます。

主演を務めた柳楽優弥は、第57回カンヌ国際映画祭では日本人初、そして史上最年少で最優秀主演男優賞を受賞しました。それ以外にも国内外の映画賞を総なめにした作品です。

母と4人の子供たちの新しい生活

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出典:http://www.slantmagazine.com/

アパートに引っ越してきた、母・けい子と小学6年生の男の子・明。抱えてきた大きなスーツケースには次男・茂、次女・ゆきが隠れています。長女・京子は後からこっそり家に入り込みます。
シングルマザーで4人の子持ちとなると、なかなか部屋を借りることができないため、そんな作戦で新しい暮らしを始めたのでした。
翌朝、母は仕事に出かけますが、子供たちは学校に通っていないため家で荷解きをします。
そして、唯一外出を許可されている明は買い物に出かけ、食料を買うのでした。

オーディションで選ばれた4人の子役たち。母が不在の間に部屋で交わされる兄弟姉妹の会話、長男の明が買い物先で見せるひとりごとなどが、まるで本当の生活を覗いているかのような自然さです。台本はなしで撮影当日にセリフだけ教えて子供たちを撮影したという是枝監督の手法が、子供たちの日常の無邪気さやかわいさを引き出しているんですね。

子供だけの生活が始まる

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出典:http://asianwiki.com/

4人の子供たちは、それぞれ違う男性とけい子の間に生まれた子供でしたが、実は出生届すら出されていません。京子はけい子に「学校に行きたい」と言いますが、「学校なんて行ってもおもしろくないよ」と取り合ってもらえません。
けい子は明に「好きな人がいる。」と言います。その人と一緒になれば、みんなを学校にも行かせてあげることができる。京子もピアノが弾ける。そんなけい子の言葉を明は黙って聞いています。
そしてある日、けい子は「しばらく留守にする」と書き残し、いなくなります。

母に好きな人がいると聞き、「また?」と言う明。マニキュアを塗ってもらい幸せそうな顔をする京子。ダメな母とわかっていながらけい子を慕う子供たちの様子に、心が痛みます。

つかの間の親子団らん、そして再び取り残される子供たち

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出典:http://exclaim.ca/

けい子は一向に姿は見せず、現金書留で生活費を送ってきますが、十分とは言えまえん。明は、茂やゆきの父親のもとを訪ねて金銭面の援助を頼みます。が、ほとんどもらうことはできません。
そんな明の苦労も知らず、ある時お土産を抱えたけい子が帰ってきます。渡されたおもちゃに喜び、けい子に髪を切ってもらう子供たち。京子だけは「お母さん、本当はどこに行ってたの?」と聞きますが、けい子は仕事とだけ答えます。
明はけい子に、相手に自分たちのことを話したのか、いつになったら学校に行けるようになるのか、と聞きますが、けい子からは歯切れの悪い返事しか返ってきません。その翌日、再びけい子は子供たちのもとを去っていきます。

BGMもほとんどなく、子供たちの日常生活のシーンが続きます。
残されたお金を懸命に管理し、家事をし、買い物をし、毎日が過ぎていくのです。剥がれたマニキュアの京子の指先が、日々の経過を物語っています。
徐々に生活に疲れていく京子、どうすればよいか悩みながらも弟たちには明るく接する明の姿が印象的です。

お金が底をついても、良い兄であろうとする明

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出典:http://japachickyburgers.blogspot.jp/

ある日、明は母の勤め先に電話をしますが、すでにけい子は退職していました。生活費を送ってくる先の住所に電話をかけ、自分とは違う姓を名乗るけい子の明るい声に、明は無言で電話を切ります。
年が明け、明は母からだと嘘をついて弟たちにお年玉を渡します。しかし、実際は生活費も送られてこなくなり、数か月後にはとうとう電気、ガス、水道も止められてしまいます。

母が帰ってくると信じている幼い茂とゆき、薄々現実をわかっていながらもどこかにまだ希望を持っている明と京子。
なじみのコンビニで警察に相談するよう言われ、「4人で暮らせなくなる」と拒む明。どんどん生活が苦しくなる中でも、4人は力を合わせて生きていきます。

ゆきの事故。それでも何も変わらず日々は続く

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明たちは公園の水でどうにか生き延びます。そこで出会った不登校の女子中学生・沙希。彼女は明たちの生活を見かねて、知らない男性とカラオケをして手に入れたお金を渡そうとします。しかし明は受け取りませんでした。
ある日勝手に外出した茂の行動をきっかけに、今までの我慢が爆発した明は家を飛び出します。偶然見かけた少年野球に混ぜてもらいひと時を楽しみますが、家に帰ると想像を絶する出来事が起こっていました。

淡々と進んでいくストーリーは、明の目線で見た大人や弟たちの姿が描き出されています。
彼らに気づきながらも手を差し伸べようとしたのは、たった一度のコンビニ店員の助言のみ。同じ子供である沙希の強い気持ちだけが、明たちの支えになっています。
彼らを取り巻く社会のあり方を考えさせられる、是枝監督の『誰も知らない』。是非、ご覧下さい。

『誰も知らない』
©「誰も知らない」製作委員会

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