「非情城市」や「珈琲時光」など、映画ツウに好まれるホウ・シャオシェン監督の作品を観よう

レコメンド
『黒衣の刺客』映画オリジナル予告編(30秒)

「非情城市」や「珈琲時光」など、映画好きに好まれる作品で知られるホウ・シャオシェン監督。前作に引き続き、最新作『黒衣の刺客』にも妻夫木聡など日本人俳優が出演。

暗殺者に育て上げられた女性の数奇な運命の物語

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かつて親が定めた許婚同士だったスー・チー演じる陰娘(インニャン)とチャン・チェン演じる田委安(ティエン・ジィアン)。時を経て故郷に帰ってきた陰娘でしたが、実は田委安の暗殺を、自らを暗殺者に育て上げた女道士嘉信(ジャーシン:シュウ・ファンイー)に命じられていたのです。

黒衣を身に纏い、武侠の道を往く暗殺者陰娘

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映画の舞台は唐の時代の中国。親の政敵の策略で、田委安と引き裂かれた陰娘は女道士嘉信に預けられます。一方、陰娘と別れさせられた田委安は政敵の娘と結婚し、時の権力者として政界に君臨します。
現在は自らを陥れた政敵側にいるかつての許婚の暗殺を命じられた陰娘の苦悩が、映画のストーリーの中核をなしています。

刺客と標的となったかつての許婚同士を取り巻く人間模様

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政治的策略によって引き裂かれた仲である陰娘と田委安は、それぞれに複雑な想いを抱えています。しかし暗殺者となった陰娘にとって暗殺は任務ですし、時の権力者となった田委安にとって暗殺者の排除は身を守る以上の意味を持っているのです。こうした政治の世界が絡んだ複雑な人間関係を読み解くのも、この映画を楽しむポイントです。

台詞ではなく、カメラワークで語られる世界観

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撮影に5年の歳月をかけただけあり、その映像美は圧巻の一言。本作は物語世界を映像で語ることに重きをおいており、特にホウ・シャオシェン監督作品特有の登場人物の孤独感が画面全体から匂ってくるような俯瞰的カメラワークは必見です。

『黒衣の刺客』はカンヌ国際映画祭でコンペディション監督部門を受賞しただけあり、見れば見るほど深みのある映像美と世界観に引き込まれます。
まだの人は是非、ホウ・シャオシェン監督が生み出す繊細な映像世界を体験してみて下さい。

『黒衣の刺客』
2015年9月12日ロードショー
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