オークションで発掘された15万点の写真。謎の女性写真家をめぐるアートドキュメンタリー

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『ヴィヴィアン・マイヤーを探して』映画オリジナル予告編

偶然オークションで発掘された15万点の写真。そこには、プロの写真家たちが認める「作品」の数々が詰まっていたのです。謎の女性写真家をめぐるアートドキュメンタリーフィルム。

監督兼世紀の発見者ジョン・マルーフが落札した大量のフィルム

本作の監督でもあるジョン・マルーフが、2007年にオークションで落札した15万枚以上にも及ぶ大量のフィルム。その大半はアメリカの街と、そこに住む人々を写したストリートスナップでした。
その多様さに魅せられたジョン・マルーフは、自らのblogなどにヴィヴィアン・マイヤーの写真を公開し、その用途を問いかけます。同時に、撮影者ヴィヴィアン・マイヤーについて調べ始めるのですが…。

ダイナミックと評される天才写真家の素顔に迫るドキュメンタリー

しかし、名前だけが手がかりの捜索は思うように進みません。それでも根気よく調査を続けたジョン・マルーフは、ヴィヴィアン・マイヤーが幼児教育を行うナニーの職についていたことを突き止めます。
生涯独身だったヴィヴィアン・マイヤー。ナニー時代に面倒を見た子供たちは、彼女の晩年に資金援助も行ったといいます。ジョン・マルーフに彼らが語ったヴィヴィアン・マイヤー像は、意外なものでした。

偏屈で繊細な一面を持ち、常にカメラを手放さなかったヴィヴィアン・マイヤー

ナニーでありながら常にカメラを手放さなかったヴィヴィアン・マイヤーは、私生活を他人に見せることを嫌い、自分の部屋には誰も立ち入らせませんでした。
撮影した写真ですら誰にも見せず、親しい友人もいない彼女は、何故か偽名を使って生活をしたりと、とにかく自分というものを隠して生きたがっているように感じられます。

ヴィヴィアン・マイヤー初の写真集「Street Photographer」

作中には、ヴィヴィアン・マイヤーが残したストリートスナップが、数多く登場します。白人社会に留まらず、黒人、そして低所得者や浮浪者といった社会的マイノリティまで、対象を選ばずに撮影された写真の数々は、ジョン・マルーフの働きかけによって、世界に広く知られるようになり、2010年には欧米各地で写真展が行われ、2011年に刊行された写真集「Street Photographer」は全米売上№1を記録しました。

果たしてヴィヴィアン・マイヤーとは何者なのか。
彼女は何故これだけ多くの写真を撮り続けたのか。

謎多きアマチュア写真家ヴィヴィアン・マイヤーの生涯に迫るドキュメンタリーフィルム『ヴィヴィアン・マイヤーを探して』で、奥深いアート・ドキュメンタリーの世界に触れてみるのはいかがでしょう。

『ヴィヴィアン・マイヤーを探して』
Ⓒ Vivian Maier_Maloof Collection
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