アニメーションの未来を変えた映画監督・今敏が残した名作アニメ映画

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©1997 CREX

日本のアニメ映画界に大きな変革をもたらし、アニメーションの未来を変えたとも言われる映画監督・今敏(こんさとし)。46歳という若さでこの世を去りましたが、その短い生涯でいくつもの名作映画を誕生させました。今回は今敏について監督作品と共にご紹介します。

アニメーションに変革をもたらした映画監督・今敏とは?


出典:http://4bluestones.biz/

今敏は北海道出身、武蔵野美術大学を卒業後、アニメーター・漫画家として活躍し、アニメーション映画を手掛けるようになりました。映画製作においてはストーリーを重視する方法を用いることで有名で、完成した映画はその作り込まれた高いストーリー性が高い評価を受けています。
2010年に体調を崩し、すい臓がんにより46歳という若さで惜しまれつつも亡くなりました。

初監督作品でいち早く現代の問題を取り上げる『PERFECT BLUE パーフェクト ブルー』

1997年の作品でありながら、ストーカーやインターネットといった極めて現代的な問題が語られている作品です。アイドルの霧越未麻は事務所の方針に流されつつ、女優への転身を図ります。最初こそ臨んだ仕事ばかりではありませんでしたが、次第に未麻の女優業も軌道に乗っていきます。しかし、アイドルの自分と女優の自分どちらが本当の姿なのかわからなくなってしまい、ついにはストーカーの出現によって精神的に追い詰められてしまいます。

アニメならではの表現で描く愛の話『千年女優』

千年女優

出典:https://www.amazon.co.jp/

主人公・藤原千代子は、映画会社「銀映」に所属していた伝説の大女優。「銀映」の撮影所が閉鎖するにあたり、映像制作会社の社長である立花からのインタビューを受けます。その際に無くしていた大切な鍵を渡され、千代子は鍵にまつわる自分の半生を語りだします。しかし、次第に記憶と映画の世界がまじりあい、周囲の人を巻き込んでいくことになります。

クリスマスの心温まる奇跡『東京ゴッドファーザーズ』

本作で今敏が描いたのは奇跡です。クリスマス、東京の片隅で生きるホームレス3人組は、ごみ捨て場で赤ちゃんを拾います。「きよしこの夜」から清子と名付け、3人は実の親を探しに出かけますが、行く先々で様々な騒動が起こります。清子、そして3人のホームレスそれぞれが自分の過去と向き合い、生き方を見出していく様子はまさにクリスマスの奇跡です。

夢の世界を飛び回る遺作『パプリカ』

©2006 MADHOUSE/SONY Pictures Entertainment(Japan)Inc.

今敏が最後に完成させた映画が、夢をテーマにした作品『パプリカ』です。
研究員・千葉敦子は、夢を共有する機械DCミニをつかって他人の夢にはいり、奔放な女性パプリカとしてセラピーを行っていましたが、ある日DCミニが盗まれる事件が発生。盗まれたDCミニが悪用され、他人の夢に入り込み悪夢を見せる事件が発生します。
本作はヴィネツィア国際映画祭のコンペティション部門へ正式出品されました。

既存のアニメの枠組みを、次々と変えていった今敏監督。その立体的な映像美は、今見ても色褪せません。アニメ映画が苦手という人にこそ見ていただきたい名作が揃っています。是非ご覧になってみてはいかがでしょうか。

『PERFECT BLUE パーフェクトブルー』
©1997 CREX

『東京ゴッドファーザーズ』
©2003 今敏・マッドハウス/東京ゴッドファーザーズ製作委員会

『パプリカ』
©2006 MADHOUSE/SONY Pictures Entertainment(Japan)Inc.

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