『時をかける少女』、『バケモノの子』などを手掛けるアニメーターにして映画監督・細田守の代表作品

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プロの声優ではなく、俳優や女優を抜擢し、作品を作り上げることが多い細田守監督。その映像も、アニメーションというよりは、実写映画のようなカメラワークなどで表現したり、ストーリーの伏線となるシーンの登場などが特徴です。決して子供のものだけではない、アニメーションの面白さを教えてくれる細田監督について、その作品と共に紹介します。

アニメーターからキャリアを積み上げた監督・細田守

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出典:http://gigazine.net/

1967年、富山県に誕生した細田守監督。金沢美術工芸大学美術工芸学部美術科油絵専攻卒業後、東映動画(現在の東映アニメーション)に、アニメーターとして入社しました。
1999年、『デジモンアドベンチャー』の監督として抜擢され、その後テレビアニメ「おジャ魔女どれみドッカ~ン!」の第40話を担当し話題に。『ONE PIECE ワンピース THE MOVIE オマツリ男爵と秘密の島』の監督後に東映動画を退社しフリーとなります。
フリーとなってからは、『時をかける少女』、『サマーウォーズ』など次々とヒットを飛ばし、今や日本アニメーション映画界にはなくてはならない名監督となりました。

仲間がいれば必ず乗り越えられる!『ONE PIECE ワンピース THE MOVIE オマツリ男爵と秘密の島』

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出典:http://onesoku.com/

ログポースというその島への指針と招待状を手にした、麦わらの海賊団ルフィたち。行先は、毎日がお祭りのように楽しめるという”オマツリ島”。ところが、いざ到着した島は、まるで無人島のようです。そして登場したオマツリ男爵から、次々試練を与えられることに。何人もの個性的な敵を相手に、ルフィたちは戦いをくぐりぬけていくのですが…。

細田監督初の長編アニメーション映画です。2005年、東映アニメーション時代の最後の作品です。

時間を超えて芽生える絆の過去と未来『時をかける少女』

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出典:http://lineblog.me/

高校2年生の真琴は、ある夏の日、理科準備室で不審な人影に出くわします。転んだ拍子に頭を打ち気づいた時にはもう誰もいません。その日の帰り道、自転車のブレーキがきかず、あわや事故にという瞬間、真琴は少し前にタイムリープした自分に気づきます。それをきっかけに時間を戻るコツを覚えますが、それが原因でいつも一緒にいる浩介と、千秋を含めて、付き合う相手が変わったりしたことで、真琴はますますタイムリープを繰り返します。そんな時、千秋にタイムリープを指摘され、真琴は驚きます。

2005年にフリーとなった細田監督が手がけた2006年の作品です。日本アカデミー賞最優秀アニメーション作品賞など数々の賞を受賞し、海外でも高い評価を得ました。

現実と仮想での戦いで世界を救う『サマーウォーズ』

サマーウォーズ・劇場用特報

高校生の健二は、先輩であり憧れの女性である夏希に頼まれ、婚約者のふりをして彼女の実家へ行くことになります。
その夜、健二の携帯に謎のメールが届きます。それはOZ(オズ)というネット上の仮想世界の管理権限パスでした。ショッピングやファイナンスなどのサービスも利用できるOZは、ラブマシーンという人工知能に乗っ取られ、世間は大騒ぎ。混乱の中、夏希の祖母である栄が豊かな人脈を駆使してどうにか騒ぎは収まるのでした。ところがその後、栄は心臓発作で亡くなってしまい、ラブマシーンは再び暴れはじめ世界中のアカウントを奪っていきます。

健二の声を神木隆之介、夏希を桜庭ななみが担当しました。祖母の活躍が痛快です。そして仮想現実での戦いがスケールも大きく繰り広げられ、まるでゲームの世界に入り込んだような躍動感のある描写が見事です。
CGを駆使した、何億ものアバターが動く様子は圧巻です。

おおかみと結ばれた少女とその子供たちの年月『おおかみこどもの雨と雪』

映画「おおかみこどもの雨と雪」予告3

19歳の花は、ある日出会ったおおかみおとこと恋に落ちます。2人は結婚し、かわいい子供が生まれます。姉は雪、弟は雨と名付けられました。しかし、雨が生まれて間もなくおおかみおとこは死んでしまいます。それから花は、人里離れた田舎の家で2人の子供を育てました。人として生きようとする雪、山に惹かれオオカミとしての人生を考え始める雨。それぞれに子供たちは成長していくのでした。

花の声優に宮崎あおい、おおかみおとこに大沢たかお、そして成長した雪に黒木華、雨に西井幸人というキャスティングです。強く明るい母親・花の魅力と、自ら道を切り開いていく雨と雪の成長に感動します。

アクション満載のパワフルなファンタジー『バケモノの子』

『バケモノの子』映画オリジナル予告編2

9歳の蓮は、両親が亡くなりさまよう街中でバケモノと出会い、バケモノ界で修業をすることになります。バケモノ・熊徹を師匠とし、九太と名付けられた蓮は、武術を教え込まれて行きます。そして8年たち、蓮は偶然戻った人間界で楓という女子高生と出会います。勉強する喜びを知った蓮でしたが、熊徹はそんな蓮を受け入れることができません。とうとう蓮はバケモノ界を飛び出し人間界へ戻ってしまうのですが…。

役所広司が声優を務めた熊徹の豪快さや蓮に対する愛情が、スクリーンいっぱいに広がります。宮崎あおい、広瀬すず、染谷将太、大泉洋といった豪華な声優陣が人間とバケモノ達に命を吹き込んでいます。
原作・脚本も細田監督が手がけ、「自分自身も蓮のようにこの作品を通して成長していきたい」と語っていました。

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出典:http://www.ikspiari.com/

老若男女問わず楽しませてくれる細田監督。次回作はどんな感動を届けてくれるのでしょうか。その前に、これまでの作品を見返してみませんか?

『時をかける少女』
©「時をかける少女」製作委員会2006

『サマーウォーズ』
© SUMMERWARS FILM PARTNERS 2009

『おおかみこどもの雨と雪』
©2012「おおかみこどもの雨と雪」制作委員会

『バケモノの子』
©2015 THE BOY AND THE BEAST FILM PARTNERS

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