【ネタバレあり】復讐したいとお考えのあなたへ…パク・チャヌク監督の“復讐3部作”を解説!

レコメンド

100803_001
出典:http://flavorwire.com/

パク・チャヌク監督の描く世界に触れたことがありますか?衝撃的、挑戦的な映像と、人間の残酷な本性をえぐり出すストーリーは、確実に見る者の心の中に何かを残します。パク・チャヌク監督が自身の核と謳った、“復讐3部作”と呼ばれる『復讐者に憐れみを』、『オールド・ボーイ』、『親切なクムジャさん』について紹介します。

娘を殺された怒りに復讐鬼となった男『復讐者に憐れみを』(2002年)

100803_002
出典:http://noracism.tistory.com/

耳が聞こえない青年・リュは、姉の腎臓移植のための資金を手に入れるために、恋人のヨンミと共に富豪の娘誘拐を企てます。しかし、それを知ったリュの姉は自殺、さらに誘拐した娘をひょんなことから死なせてしまいます。娘の死を知った富豪・ドンジンは、復讐を誓うのでした。

目を反らしたくなるような手口で仇をとっていくドンジン

目を反らしたくなるような手口で仇をとっていくドンジン


出典:http://photohistory.tistory.com/

感電死、バットで打撃…など、次々と殺人を犯していくドンジン。しかし復讐を果たしたかと思ったその時、見知らぬ男たちが現れます。ヨンミが死に際に言っていた言葉…自分が死んだら組織の仲間が必ずあなたを殺しにやってくる。それは本当だったのです。男たちはドンジンにナイフを突き立て、去っていくのでした。

”復讐3部作”の第1章がこの作品です。韓国を代表する演技派俳優ソン・ガンホが復讐に燃える男を演じ、シン・ハギュン、ペ・ドゥナなどが共演しました。
当時の日本ではあまり見ない、非情で執拗な拷問や殺人シーンが容赦なく映し出され、論議を呼びました。復讐する側、される側すべての人が死んでしまうという救いようのないストーリーもまた、韓国映画ならではです。
ペ・ドゥナは是枝裕和監督の『空気人形』で、ピュアで透き通るようなドールを演じていましたが、本作では粗野な雰囲気の女性革命家を演じています。

その復讐は15年の監禁から始まった『オールド・ボーイ』(2003年)

100803_004
出典:http://blog.daum.net/

ある日、突然拉致されたオ・デス。目覚めた部屋に閉じ込められ、そこで妻が殺されたことを知ります。監禁は15年にもおよび、その間デスはいつかの復讐のためにトレーニングをし、屈強な肉体を作り上げていました。
誰に何故そんな目に合わされていたのかわからないまま、15年後のある時解放されます。そして偶然入った寿司屋のミドという女性の元で暮らすことになるのでした。

明かされたデスの罪と、彼に与えられた罰とは…

明かされたデスの罪と、彼に与えられた罰とは…


出典:http://gofigo.tistory.com/

自分を監禁していた男を探し当てたデスでしたが、実はその男は高校の同級生イ・ウジンでした。もしも監禁理由を突き止めれば自分が死ぬ、しかしわからなければミドを殺す。それがウジンの出した条件でした。
そしてデスは真実に辿りつきます。かつてデスがウジンの秘密を暴露したことで彼の姉は自殺してしまったのです。それを恨んでの復讐が、15年もの監禁でした。
デスは罪に苛まれ舌を噛み切りウジンに忠誠を誓いますが、ウジンは約束通り命を絶つのでした。

”復讐3部作”の第2章。原作は日本のコミック「ルーズ戦記 オールドボーイ」です。
チェ・ミンシクが15年間も監禁されるオ・デスを演じ、復讐者となったイ・ウジンをユ・ジテが演じました。不幸な結末で、特にデスに至っては許されることがないまま罪を背負って生きていかなければなりません。
2013年にはスパイク・リー監督作として、ハリウッドでリメイクされています。

この上なく美しく、この上なくしたたかな復讐者『親切なクムジャさん』(2005年)

100803_006
出典:http://www.cbinews.co.kr/

少年の誘拐・殺人の罪でキョンジュ刑務所に服役している、美しい囚人クムジャ。他の囚人には優しく、慕われる存在でした。
しかし、本当の犯人は彼女が18の時に出会ったペク先生でした。彼はクムジャを妊娠させ、産まれたその娘を殺されたくなければ、自分が犯した罪を被って服役するよう脅したのです。
13年の刑期を終え出所後、彼女はまるで別人のように冷酷にそして周到に復讐するために動き始めます。

”いい人”を演じながら培った知恵と人脈を使いこなしていくクムジャ

”いい人”を演じながら培った知恵と人脈を使いこなしていくクムジャ


出典:http://hedwig.byus.net/

刑務所で作り上げた人脈を使い部屋を用意してもらい武器を手に入れるクムジャは、ペグ先生がオーストラリアへ養子に出した娘の行方を捜し出します。そしてペグの居所も突き止めますが、彼はクムジャが罪を被った殺人以外にも多くの子供たちを殺したことが発覚。犠牲となった子供たちの親を集めて、1人ずつペグ先生を刺して復讐を遂げていきます。そして息絶えた彼に向かい、クムジャはさらに銃を撃ち込むのでした

”復讐3部作”の最終章です。イ・ヨンエの美貌が、クムジャの冷酷な復讐を際立たせます。あらゆる人を使って根回しする様子は恐ろしくもあり痛快でもあります。
前2作とは違い、女性が復讐者ということもあり映画自体のトーンも少し上がっているように感じますが、後半に子供たちが受ける仕打ちをビデオで流すシーンからラストにかけては、やはり後味の悪さを否めません。

100803_008
出典:http://media.daum.net/

パク・チャヌク監督の作品は好き嫌いが分かれますが、そのストーリーと映像から感じるパワーに圧倒されることは間違いありません。映画好きなら、一度は手に取ってみてくださいね。

【関連記事】
◆韓国映画の鬼才!衝撃的な作品を次々と生み出すポン・ジュノ監督のおすすめ映画作品
◆彼が出ている映画にハズレなし!韓国映画界イチの演技派俳優ソン・ガンホ