CinemaGene(シネマジーン)

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大人になった今だから見たい。ノスタルジックな気持ちにさせる映画

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出典:http://newtakakonoie.ti-da.net/

人は想い出なしでは生きていけません。生きる事に疲れた頃に思い出す、子供の頃の美しい想い出…。ちょっとノスタルジックな気持ちに浸りたい方に是非ご覧いただきたい作品を5本ご紹介します。

最愛の妻を亡くした夫に訪れた、奇蹟の六日間。『いま、会いにゆきます』

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市川拓司原作の同名小説の映画化。秋穂巧(中村獅童)は、最愛の妻、澪(竹内結子)を病気で亡くし、小学生の息子・佑司と二人寂しく平凡な日々を過ごしていました。妻の死から1年がたったある日、いつものように休日に森で遊んでいた二人の前に、亡くなったはずの澪が現れます。何故か記憶を失っていた彼女と、再び三人の楽しい暮らしが始まるのですが…。
この映画のクライマックスは、澪が再び巧の前から去った後、彼女の視点で描かれている部分でしょう。この場面で、それまでのシーンに様々な仕掛けが隠されていた事が解き明かされれ、『いま、会いにゆきます』という言葉の本当の意味が明らかになります。
「ビューティフルライフ」「GOOD LUCK!」など、TVの世界で数々の大ヒットドラマを放ってきた土居裕泰監督が初めてメガホンをとった作品としても話題になったこの作品、ファンタジーでありながら、ノスタルジックな気持ちにも浸ることができる名作です。
この共演をきっかけに結婚⇒離婚となってしまった中村・竹内の二人ですが、そこはあえて考えずにフラットな気持ちでご覧ください…。

原作・映画と2度の驚きを楽しもう。『イニシエーション・ラブ』

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販売部数が140万部を超える大ベストセラーとなった、乾くるみの同名小説が原作。「ラスト2行で全てが覆る」と言われた原作と同様「ラスト5分で全てが覆る」というキャッチコピーで、公開前から話題になっていました。
『トリック劇場版』など、この手の作品を撮らせたら業界屈指の存在でもある堤幸彦がメガホンを取り、秀逸な原作を見事な映像に昇華させています。
あらすじはあえて書きませんが、この作品は必ず原作を読んでから見る事をオススメします!原作を読めば、「これが映像化できるわけがない」と必ず感じるはずです。その思いを持った上で見た方が断然面白さがアップしますし、原作とは違う結末に対する驚きも増幅されるでしょう。
この映画は、ストーリーとは別に、80年代に青春を生きた方ならたまらなく懐かしい場面が散りばめられている点も推奨ポイントです。時はバブル絶頂期、携帯なんてない時代、連絡をとるには公衆電話。待ち合せに遅れてもすぐ携帯で連絡がとれる今では感じる事のない不安や戸惑い…。スカイプなどテレビ電話までも普及した現在、この作品で出てくるような遠距離恋愛でも、当時のような寂しさ、切なさを感じる事はもうないでしょう。そう思うと、今の時代が幸福だとは言い切れない気もします。全編に流れる音楽も勿論当時のヒット曲。この作品で当時の曲が気に入って購入した若い方も多かったとか。原作と同様二部構成になっていますが、原作ではside-A/side-B、映画ではDisc1/Disc2となっているのも時の流れを感じます。
宣伝文句の通り「必ず2回観たくなる」作品です。

『イニシエーション・ラブ』原作者、乾くるみの正体。

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『イニシエーション・ラブ』原作者、乾くるみ。

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「しゃべくり007」の一場面

原作の大どんでん返しで驚かされた後、原作者の「乾くるみ」を検索してもう一度どんでん返しを食らった人も多かったことでしょう。そう、「乾くるみ」は男性でした…。何でしょう?このちょっとがっかりした気分は。
大ヒットと呼べる作品がなかった彼でしたが、2014年、日本テレビ「しゃべくり007」でくりぃむしちゅーの有田哲平が『イニシエーション・ラブ』について「最高傑作のミステリー!」と紹介。これがきっかけとなり人気が沸騰し、10年前の作品にもかかわらず1週間で1万6千部以上を売り上げ、トップ10入りを果たしました。以降SNSなどで噂が噂を呼び、ついに140万部というとてつもないミリオンセラーとなったのです。携帯電話もない時代のノスタルジックな小説が、10年の時を経て現代のSNS効果で大ヒットしたというのも不思議な因縁を感じますね。

大ヒット曲の歌詞をモチーフにした作品。『22才の別れ Lycoris 葉見ず花見ず物語』

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名匠・大林宣彦監督が、「尾道三部作」「新・尾道三部作」に続いて放つ「大分三部作」の2本目となったこの作品は、1975年に発売された、フォークグループ「風」の大ヒット曲「22才の別れ」の歌詞をモチーフに描かれています。
44歳のサラリーマン・川野俊郎(筧利夫)は、同僚の有美(清水美砂)とつかず離れずの微妙な関係が続いていました。そんなある日、コンビニのレジで「22才の別れ」を口ずさんでいたアルバイトの少女・花鈴(鈴木聖奈)と知り合った俊郎は、唐突に援助交際を申し込まれます。その事をきっかけに彼女の身の上話を聞く事になり、22才の誕生日に別れた昔の恋人、葉子(中村美玲)に関する驚きの事実を聞かされることに…。
前作『なごり雪』に続いて70年代フォークソングをモチーフにしたこの作品、人生ちょっとしたボタンの掛け違いで大きく変わってしまう…切ないけれど逃れる事の出来ない現実を改めて考えさせられます。歌詞をそのまま台詞に使うなど、大御所となってもなお、果敢に新たな試みにチャレンジする大林監督の意欲は素晴らしい。彼ならではの演出・映像美もふんだんに取り入れ、前作よりさらに素晴らしい作品に仕上がっています。2007年のこの作品以降、未完となっている「大分三部作」の3本目の完成が待たれます。

『22才の別れ』のラストに登場する「うすき竹宵」とは?

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「うすき竹宵」の様子

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「般若姫行列」の様子

『22才の別れ』のラストに登場する美しい映像は、大分県臼杵市で秋深い11月に行われる「うすき竹宵」というお祭りの様子です。武家屋敷や寺社など、歴史ある街並みの石畳に置かれた5万本の”竹ぼんぼり”の美しさと幻想的な雰囲気に圧倒されます。また、大分県にまつわる民話「真名野長者伝説(般若姫伝説)」を実際に表現した「般若姫行列」は、遠い過去にタイムスリップしたような不思議な感覚に観る者を導きます。

青春時代の不安・戸惑いをリアルに描いた作品。『四月物語』

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『四月物語』冒頭で、卯月を見送る家族(実際の松本家)

「岩井美学」と呼ばれる映像美で、数々の名作を発表している岩井俊二の短編映画で、松たか子の映画デビュー作。
誰もが新たなスタートを切る季節、四月。東京の大学に入学するため北海道から上京してきた女子大生・卯月(松たか子)は一人暮らしを始めます。田舎育ちで内気な性格な彼女は、なかなか都会の水になじめなかったのですが、憧れの先輩や周囲の人々との触れ合いの中で、少しずつ新しい生活にも慣れ、「自分」を取り戻していきます…。
おそらく誰もが経験する学生時代の不安や葛藤を、岩井作品らしく美しい映像でリアルに表現し、多くの人が共感を持てる作品に仕上がっています。特に、まだ初々しい少女時代の松たか子だからこそ、この作品のリアリティを高めているとも言えるでしょう。デビュー作とは思えないほど存在感抜群の演技を見せています。
オープニングで卯月を見送る家族が本物の松本一家だったのは驚きですが、岩井俊二ならではの遊び心であり、これから映画の世界に旅立つ娘を見送るという意味では、これもまたリアルな映像と言えるのかもしれません。

劇中劇「生きていた信長」にも注目!

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『四月物語』で松たか子演じる卯月が、映画館で見ている映画が「生きていた信長」です。実はこの作品、完全版が「四月物語」のDVD特典映像として収録されています。
8分のショートフィルムながら、織田信長(江口洋介)・明智光秀(石井竜也)・斎藤道三(伊武雅刀)と何とも豪華な顔ぶれ。しかもあえて全編モノクロで、昔のフィルムのような画質で撮影し、一瞬黒澤作品のような錯覚に陥らせるところは、さすが岩井マジックといったところ。NHK大河ドラマ「軍師官兵衛」以前、既に江口洋介は信長を演じていたのですね。
短編ながら、しっかりと捻ったオチもついており、十分楽しめる作品です。

『虹色ほたる~永遠の夏休み~』

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出典:http://eiga.com/movie/57766/

最後にアニメ映画からも一本選びました。『虹色ほたる~永遠の夏休み~』は、作者である川口雅幸氏の個人サイトで連載されていた小説が人気を呼び、出版化されたものを原作とした作品で、監督は『ワンピース』で知られる宇田鋼之介。
小学6年生の少年・ユウタが、夏休みに昆虫採集にやってきた山奥でタイムスリップを体験します。着いた先は30年前、ダム開発で水の底に沈む寸前の村だったのです…。
子供の頃、田舎で過ごした夏休み、虫取り、夏祭り…誰もが懐かしく感じる風景が、細部まで繊細に美しく描かれ、観る者は物語に引き込まれます。ふと気づくと、たった一月の夏休みの間にも成長していく幼い主人公に違和感なく感情移入しているでしょう。
ユウタが現代に戻る前、村の少女と交わした「向こうでも絶対に再会する」という約束は実現するのでしょうか…。

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