21世紀を代表する名匠アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督のおすすめ作品

初めはラジオのDJから、そして番組演出などに進出して映画の世界へと足を踏み入れた、アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督。2015年、16年と2年連続でアカデミー監督賞を受賞するなど、今世界から最も注目を集めている映画監督、アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督の作品を紹介しましょう。

ある交通事故に関わる人々のドラマ『アモーレス・ペロス』

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兄の妻を愛してしまった男・オクタヴィオ（ガエル・ガルシア・ベルナル）。彼女のために愛犬を闘犬として活躍させ、賞金を得ていました。しかし、その犬が銃撃に会い、彼は撃った男を刺してしまいます。そこから逃げようとしたオクタヴィオの車は交通事故を起こしてしまいます。
その事故の被害者は、これから幸せな人生が始まるはずだったデザイナーの男。しかし、事故をきっかけに足を切断することになり、仕事もなくしてしまいます。

2000年に公開されたイニャリトゥ監督の初監督作品です。ある事故を取り巻く人間たちの、それぞれのドラマをオムニバス形式で描いています。この作品で、東京国際映画祭グランプリなどの賞を獲得しました。

移植により交差する死と生。生きることの重さとは…『21グラム』

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夫と娘をひき逃げされたクリスティーナ（ナオミ・ワッツ）。夫の心臓は、余命1か月と言われたポール（ショーン・ペン)に移植されることに。やがて回復したポールはドナー探しをはじめ、クリスティーナを見つけます。そして、ふたりは愛し合うようになるのでした。しかし、夫を殺した犯人・ジャックをどうしても許せないクリスティーナは、ポールにある頼みごとをするのです。

ジャックが事故を起こしたことによってクリスティーナは失意のどん底に。一方ポールはそれによって救われます。命とは何かを考えさせられる、数奇な運命に導かれた男女が織りなすドラマです。

銃撃をきっかけに世界に広がる人の繋がり『バベル』

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アメリカからモロッコに観光でやってきた、リチャード(ブラッド・ピット）とスーザン（ケイト・ブランシェット)夫妻。バスで移動中に銃撃を受けます。発砲したのは遊牧民の兄弟。そのライフルは、兄弟の父親が不法な取引で、日本人のハンターから手に入れたものだったのです。

日本からは菊池凜子や役所広司が出演したことでも有名な作品。モロッコ、アメリカ、メキシコ、東京と、場所と時間が入り組みながらストーリーが展開してく、グランドホテル方式で撮られた作品です。
カンヌ国際映画賞監督賞などを受賞しました。

過去の栄光から新たな一歩を踏み出そうとする俳優の行く末『バードマン　あるいは（無知がもたらす予期せぬ奇跡）』

落ちぶれたハリウッド俳優、リーガン・トムソン(マイケル・キートン）。かつて「バードマン」というスーパーヒーロー映画で主演を務めていたのは、もはや過去の栄光でした。そんな彼は、次のステージとしてブロードウェイを選択します。友人たちの協力を得て準備をはじめ、いよいよプレビュー公演の日。ひょんなことから起用した俳優のマイクばかりが注目されてしまい、リーガンは精神的に追い込まれてしまいます。

アカデミー賞作品賞、監督賞、脚本賞、撮影賞、と、4冠に輝きました。ゴールデングローブ賞では主演男優入賞、脚本賞を受賞し、他にも多くの映画賞で賞賛されています。

愛する者を奪われた怒りをパワーに蘇った男のサバイバル『レヴェナント：蘇えりし者』

1823年、狩猟をしていたヒュー・グラス（レオナルド・ディカプリオ）たちの狩猟チームは、獲物を求めて森を進んでいます。そんな時、ヒューはひとりクマに襲われて重傷を負ってしまいます。彼がいては足手まといになり、また犠牲者が出かねない、という判断で置き去りにされることになります。彼の最期を看取るため一緒に残ることになったのは、ジョンと、ヒューの息子・ホークでした。しかし、ジョンはヒューを殺してチームに追いつこうとし、それを止めたホークは殺されてしまいます。瀕死のヒューはそれを止めることもできず、奇跡の回復を遂げたのち、ジョンへの復讐のために仲間を追ってサバイバルが始まるのでした。

生き抜くための戦いは目を背けたくなるようなシーンも多いのですが、全く美化されていない過酷な自然界の様子は、衝撃的で惹きつけられるものがあります。
アカデミー賞主演男優賞、監督賞、撮影賞を受賞。レオナルド・ディカプリオがようやくオスカーを手にしたことでも話題となりました。

いくつもの枝が実はひとつの根から伸びていたような、一見関係ないように見える人々や時間を巧みに操る、アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督。制作映画数は10本にも及ばないながらも、世界中を魅了した作品をぜひ手にとってみてください。