岩田剛典が最近感じた同級生との奇跡とは?映画『パーフェクトワールド 君といる奇跡』スペシャルトークイベントレポート

イベントレポート

――樹という役を演じることは、これまでの役とは違った挑戦だったのではないでしょうか?

岩田「全編車いすに乗っての撮影だったのですが、一番気を付けたいと思ったのは車いすの方ならではの所作ですね。作品として嘘をついていけない部分だと思いますので、現場のスタッフさんとも事前に細かく動作を確認しながら、丁寧に撮っていった思い出があります。俳優としてというよりも、人として学ぶべき部分がたくさんあった作品と出会えたなという感想ですね。」

――阿部さんは、岩田さんの車いすの所作などをご覧になっていかがでしたか?

阿部「私はいろんな映画やドラマで車いすの所作を見ていましたが、非常に物足りなさを感じていたんです。監督さんや岩田さんには、原作で描かれている言葉や表情をもとに、リアル感を大事にしてほしいとお話ししたところ、非常にそれらを表現してくださっていました。みなさんは今日このあと映画を観られると思いますが、そういった操作の部分だけではなく、表情も本当によく描かれています。“岩ちゃんスマイル”の中にも、少し影のある表情が見えたり、岩田さんはすごく上手だなと思いました。」

――杉咲さんは、つぐみを演じるにあたって難しかったことはありますか?

杉咲「ラブストーリー自体が初めての挑戦だったので、難しくないシーンはもう一つもなかったですね… これまでは家族ものをやらせていただく機会が多くて、家族との関係性だと、自分自信も体験したことがあっても、恋愛はひとそれぞれ違う形ですし、なかなか体験したことがない部分が多かったです。あとはラブストーリーということで、“つぐみがかわいく見えなきゃ”という思いで、最初は自分なりにどうやったらかわいく見えるのか研究していたんですけど、現場に立ってみて、それは必要なかったと思いました。というのも、カメラマンさんや照明部さんなどプロフェッショナルな方々が、どうやったら良く見えるかというのを一番に考えてくださっていたので、私はそこを意識するのではなく、ただ一人の女の子として先輩のことを想うことだけを大事にするようにしました。」

――有賀先生は本作をご覧になってみていかがでしたか?

有賀「私のほうが勉強になった部分がすごくありました。漫画では自分や編集さんの中で考えた表情を作っていくのですが、映像になったときに、岩田さんはこういう仕草や表情をするんだとか、花ちゃんはこうやって熱さを持ちつつも抑えた表情で演技をするんだとか、学ぶことがたくさんありました。」

――有賀先生と阿部さんは実際に撮影現場にも行かれたそうですが、有賀先生いかがでしたか?

有賀「撮影現場には阿部さんだけではなくて、原作を手伝ってくださっている車いすのご夫婦も一緒に行ったんですけど、やっぱり実際に映像になった姿を見て、全員で喜んでいました。待ち望んでいた光景に喜んでいるみなさんの姿を見ているのが、私は嬉しかったです。」

――阿部さんは撮影現場はいかがでしたか?

阿部「撮影現場には本当にたくさんの人がいるんですよね。営業する人、現場監督とか設計とか、職人さんのような方がたくさんいて、創造する仕事というところが建築と似ているなと思いました。映画が何もないところから作られていく過程を見たときに、非常に建築士の仕事と合っていると思った次第ですね。」

――建築の現場も映画の現場のように、たくさんの方がいらっしゃるんですね。

阿部「そうですね。そして出来上がるものは何もないところから作られていくので、その過程がよく似ていておもしろかったです。」