CinemaGene(シネマジーン)

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今までで一番アドレナリンが・・・『マンガ肉と僕』杉野希妃監督インタビュー

「女による女のためのR-18文学賞」を受賞した、朝香式の同名短編小説を映画化した『マンガ肉と僕』が、2月13日(土)より公開されます。
今回は、本作で長編作品監督初挑戦、ならびにヒロインのサトミ役を演じる杉野希妃さんに、お話を伺ってきました。
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Q:『マンガ肉と僕』映画化することになった経緯を教えてください。

杉野監督:
2013年の3月に、吉本興業さんが主催されている沖縄国際映画祭のクリエーターズ・ファクトリー部門の最優秀ニュークリエイター賞と、女優賞の2つの賞をいただきまして、その直後に、吉本興業さんから、「実は、R-18文学賞の映画化第3弾を企画していて、監督候補として、興味ありませんか?」というお話をいただいたんです。

その後、R-18文学賞作品を何作品か読ませていただいたのですが、「マンガ肉と僕」を読んだときに、これを映画化したら面白いことになる!と感じて、吉本興業さんに、この作品だったら映画化する意味があると思いますと、お返事したんです。
そうしたら、お返事した直後に、「マンガ肉と僕」がR-18文学賞の大賞を受賞して・・・。
もうこれは、映画化をしろということかな?という感じで、とんとん拍子に話が進んでいきました。

Q:本作の映画化する意味があると感じたポイントはどこですか?

杉野監督:
30ページくらいの短編小説の中に、「男に嫌われるために太る」サトミにどこか共感できる部分もあるし、でも哀れみやもどかしさを感じる部分もありました。
自分が女性として生きていて、すごく生きづらいと感じることもあるのですが、でも戦う姿勢は今私たちが目指すあり方ではないなと感じていて・・・。
だから、何かに対抗するとか、敵を作って戦うということではなく、自分自身を受け入れ、お互いも受け入れあえればいいなと思いました。
この作品は、生きづらさを感じている人たち、自分らしさを見出せない人たちの葛藤の物語にしたいなと思っていたんです。今の私たちは、まだ葛藤のさなかにいると思うので、そういう現代の雰囲気を映画の中で体現できればと思いました。

Q:撮影中、大変だったことは?

杉野監督:
初監督作品で、しかも自分が出演もしているので、今まで経験した撮影の中で一番アドレナリンが出ていたと思います(笑)。すごく楽しかったです。
自分が演じているときは撮影している映像を確認できないので、演じた後に毎回モニターチェックをさせてもらいました。
モニターチェックに時間を費やしてしまっていたので、それを寛大に受け入れてくださった、スタッフの方々、キャストの方々に本当に感謝しています。

Q:ワタベ役に三浦貴大さんをキャスティングについて教えてください。
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杉野監督:
脚本を作り始めた当初から、ワタベ役は三浦さんがやってくれたらいいなぁと思っていました。
ご本人に相談もしていない段階だったんですけど、ほぼあて書きみたいな感じにもなりつつ・・・。
三浦さんにオファーしたのは、安定したお芝居をされるというのはもちろんありました。
ワタベというキャラクターは、陰の要素も、陽の要素もなければならない。女性の勢いに負けるところもあれば、逆に自分自身が女性を傷つけてしまうところもあるので、そういう両面を使い分けられ、なおかつ同時に発散させることができるようなバランス感覚の良さがあるからです。

撮影現場では、私がひと言伝えただけで、意図を汲んで演じてくれるんです。
本当にひと言抽象的なことを伝えただけで、「わかりました。やってみます!」って、言ってくれて、やってみたら、全部修正されていて、なんだこの勘のよさは!と思うことが多々あったので、さすがだなと思いました。

Q:菜子役の徳永さんについては?
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杉野監督:
徳永さんも、脚本の段階から菜子役はきっと合うだろうなと思っていました。
恋愛で半ば狂ってしまう役を演じる徳永さんを見てみたいと思ったんです。
以前、徳永さんが出演された映画『春との旅』を拝見したときに、歩き方とか、後ろ姿で語れる女優さんだなぁと感じていました。
劇中の出町柳駅のシーンでは、現場で震えるくらい素晴らしいお芝居を見せてもらいました。ご一緒にお仕事できて本当に良かったです。

Q:共感できる、感情移入できる登場人物は?

杉野監督:
私、全員に共感できちゃうんです。
きっと私の中にも菜子のような要素があるでしょうし、意志の強いさやかみたいな部分もあるし、サトミのようにまだ自分を受け入れられていないと感じることも多々あります。
自分自身が、3人の女性のキャラクターに分散されているというか、全部投影されていると感じます。

Q:サトミの役作りはどのように行いましたか?
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杉野監督:
こういうテーマ性でこういうセリフを入れたいとか、こういう風な展開にしたいとか、話し合いながら脚本開発していったので、脚本作りから役作りをしている感覚がありました。
サトミの特殊メイクをして、肉襦袢を着た瞬間に、「私サトミになれる」と感じました。
外見が変わるだけで凶暴になれるし、何も怖くなくなるというか・・・、根本的には変わってないですが、自分の中にこういう部分もあるんだと、引き出された感じです。

Q:サトミと杉野監督が同一人物とは想像できなかったです。

杉野監督:
体型は肉襦袢着れば、すぐにサトミになれたのですけど、顔が大変でしたね。
毎日3時間くらいかけて特殊メイクをしていたので、みなさんより早めに現場に入っていました。
体力勝負な部分もあったので、睡眠時間が減るというのは大変でしたね(笑)。

Q:一番思い出に残っているシーンは?

杉野監督:
全部思い出に残っていますが、やっぱり出町柳駅の徳永さんと三浦さんのシーンは忘れられないです。
徳永さんがもう神がかっていたというか、本当に菜子になりきっていたというか、すさまじい存在感で。
あのシーンは2回長回しで撮影したのですが、1回目カットかけたあとに、もうちょっとこういう風にしてほしいと指示をだしたときも、徳永さんは菜子の状態のまま話を聞いていて・・・。でも、撮影が始まるとちゃんと修正されているんですよ。
ここまで役に入り込んでやってもらえるなんて幸せなことだし、すごいもの見ちゃったなという感じがあって、鳥肌が立ちました。

Q:20代のとき、どんなことに興味を持っていましたか?

杉野監督:
今考えると、自分でいうのもなんですけど、まじめすぎたなと思います(笑)。
大学時代に留学して、留学中にデビューして、そのまま芸能事務所に入ったので、映画のことばかり考えていましたね。
女優としてデビューして、その後、プロデューサーを始めて、監督にも挑戦して、という10年間で、それ以外のことはあまり・・・(笑)。
読書も美術も音楽も好きですけど、ストイックに映画のことばかり考えていて、あまり友人にも会えていなかったなって(笑)。
ようやく30代になって、少し余裕が生まれて、友人と再会したり、こういう楽しみもあるんだなと思えるようになったんですけど、本当に必死で演じ手としても、作り手としても映画と向き合って、映画に命をささげるような10年間でした。
でも、もう1回20代をやりなさいと言われても、同じ人生歩むでしょうし、全く後悔はしていないというか、一生懸命映画に携われて本当に幸せだなと思っています。

Q:20代に経験しておくといいよ、というアドバイスはありますか?

杉野監督:
体って大事だなと痛感しています。今更ながら、20代のころから体つくりを頑張っておけばよかったと思いますね(笑)。
あとは、もうちょっと哲学を勉強しておけばよかったなって(笑)。20代のころはどちらかというと小説ばかり読んでいたので、これからは哲学書にももっと触れたいです

Q:見る方にメッセージを。

杉野監督:
この作品は、一風変わっていて、誰が見ても楽しめるポップさがあると思いますし、いろんな女性がでてくるので、なにかしら、誰かしらに自分自身を投影させながら、共感もできる作品になったのではないかと思います。笑ったかと思いきやしんみりしたりハラハラしたり・・・ジェットコースターに乗っているような気持ちで楽しんで見ていただけたらうれしいです。

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『マンガ肉と僕』作品詳細


四月の京都。気が弱く引っ込み思案の青年ワタベは、活気に溢れる大学に馴染めず、孤独な日々を送っていた。一方、同大学の熊堀サトミは、その太ったみすぼらしい容姿から、周囲の学生に嘲笑されていた。
そんなサトミを差別することなく接してくれる唯一の存在がワタベだった。
その優しさにつけ込んだサトミは、彼の自宅に転がり込み、寄生し、やがてワタベを奴隷のように支配しようとする。そんな中、ワタベはバイト 先で知り合った菜子に惹かれていく。また、ふとしたきっかけからサトミの過去の断片を知ることになる。

『マンガ肉と僕』
PG-12
2月11日(木) 新宿K’s cinemaにて先行上映
2月13日(土)シネヌーヴォー(大阪)、京都みなみ会館(京都)、元町映画館(神戸) ほか全国順次公開
©吉本興業

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