CinemaGene(シネマジーン)

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ホラーだけじゃない!天才スティーヴン・キングの世界

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出典:http://www.thecinema.jp/
次々と生み出される名作の秘密とは

映画ファンであればスティーヴン・キングの名前を知らないという方はいないのではないでしょうか。1974年に小説「キャリー」でデビュー以来、日常に潜む超常的な事象や、人間の心に潜む闇を描いたモダン・ホラーの第一人者として、その名を世界中に知られることになった同氏。しかし意外にも次々と映像化される小説作品はホラーにおいてはヒットが少なく、異なるジャンルの作品が高い評価を得ています。
今回はジャンルを問わず名作の呼び声が高い同氏の、5作品をピックアップしました。

二度と戻ることのない少年時代『スタンド・バイ・ミー』



将来を嘱望された名優リヴァー・フェニックスの夭逝でも話題に

主人公の一人である作家「ゴードン」はある日、新聞に殺人事件の記事を見つけます。被害者である弁護士「クリス」は少年時代の親友の一人でした。そしてゴードンの回想から物語は始まります。
1950年代のオレゴン州にある小さな田舎町キャッスルロックに住む4人の少年ゴーディ、クリス、テディ、バーンは、それぞれ複雑な生活環境から、心に傷を負っていました。性格や個性は異なっていても、いつも行動を共にする仲の良いグループです。そんな彼らがある日、盗み聞きしたうわさ話への好奇心から、鉄道の線路に沿って「死体探しの旅」へと出発します。果たして噂は真実なのか…。

小説「THE BODY(死体)」を原作とする本作は、思春期前の少年たちが、友情、喧嘩、家族の葛藤などを経験して、精神的に成長していく姿を描いた物語です。ラストにゴードンが記す「12歳の時に勝る友人をその後二度と持ったことがない。」という言葉と、流れてくる同名の主題歌が観る者の郷愁を誘い、ストーリーにさらに深みを与えてくれます。

身近に潜む理不尽な狂気『ミザリー』



主演のキャシー・ベイツはアカデミー主演女優賞を受賞

女性向けロマンス小説「ミザリー・シリーズ」の人気作家ポールは、そのラストを飾る最終作の原稿を書き上げた後、自動車事故に遭遇してしまいます。重傷を負った彼を救助し、介抱してくれたのは中年女性アニーでした。
両足を複雑骨折してしまったポールを、献身的にする彼女でしたが、発売された「ミザリー・シリーズ」の最終巻を購入した彼女は激昂して彼を罵倒します。ラストに納得がゆかないと言うアニーは、ポールに対して続編の執筆を強要します。その異常性に身の危険を感じた彼は、アニーがかつて複数の殺人を犯した精神異常者であることを知り、脱出を試みます。
しかしそれに感づいた彼女は、ポールをベッドに拘束、両足の骨をハンマーで折ってしまいます。大雪で外界から遮断された状況の中、身動きの取れないポールの運命は…。

身近に潜む理不尽な狂気を描いたスティーブン・キングの真骨頂とも言える本作は、現在、社会問題となっているストーカーを題材としており、その先見の明に驚かれされます。気が付けば主人公へ感情移入し、ラストまで目が離せない傑作として公開から30年近くが経った今でも高く評価されています。

生きるということは何かを問う〜『グリーンマイル』



あえて冤罪、そして死刑を受け入れたコーフィの真意とは

ある介護ホームでテレビに映し出される名画を楽しむ老人たち。その映像を観て、一人罪悪感に苛まれふさぎ込む男がいました。その姿を見て声をかけた友人に、彼は60年以上も前に怒ったある出来事を話し始めます。
1932年、世界恐慌の余波で誰もが職を失うことに怯えていた時代。主人公ポールが看守を務める監房に一人の囚人が護送されてきます。男の名はジョン・コーフィ。双子の少女を殺害したとして死刑を宣告された彼は、その風貌や罪状とは裏腹に繊細で心の優しい、そして不思議な力を持つ男性でした。
触れるだけで自身の持病を治し、別の囚人が飼うネズミの命を救ったその力を目の当たりにしたポールは、彼を神に近い特別な存在なのではと考え始めます。彼が本当に犯人なのか、死刑を執行することは大きな過ちになるのではないのかと疑念を抱き始めるのですが…。

作中のセリフにもあるように生きるということをテーマとする本作。ファンタジックホラーとも取れる要素に、様々な人間模様が絡んだ濃密なストーリーは大反響を呼び、アメリカ、そして日本でも全6巻が毎月1冊ずつ刊行されたことも話題となりました。

希望を持ち続ける大切さ『ショーシャンクの空に』



1995年度キネマ旬報・外国映画部門で第1位を獲得

若くして副頭取の任に就くエリート銀行員アンディは、妻と不倫相手を射殺した容疑で裁判にかけられます。無実を訴える声も空しく、状況証拠のみで終身刑の判決をくだされたアンディは、冤罪を晴らすことができないまま、劣悪な環境で名高いショーシャンク刑務所に収監されてしまいます。
初めこそ孤立していたものの、調達屋と呼ばれるレッドに声をかけられたことをきっかけに他の受刑者たちとも交流を深めてゆくアンディ。彼はあるきっかけから図書係へと配置換えされます。その目的は所長や看守たちが、彼の高い能力を不正蓄財に利用するためでした。
不正に手を貸す一方で、図書係として精力的に動くアンディは州議会に熱心に働きかけ、年度ごとの予算を獲得、図書館を囚人達の娯楽と教養の場と変え、皆から信頼される存在となってゆきます。そんな中、新たに入所して囚人がアンディの無実の証拠となる情報を知っていることが分かり…。

『グリーンマイル』と同様に刑務所を舞台に繰り広げられる物語は、人が人を裁くことの難しさ、そして当時の刑事司法制度が抱える問題を大きくクローズアップさせました。
閉鎖された環境から一転、美しく青い海が広がる砂浜で親友同士が再会し、抱擁を交わすクライマックスは感涙必至の名シーンです。

家族を襲う不条理な恐怖『シャイニング』



名優「ジャック・ニコルソン」の鬼気迫る表情でおなじみ

ロッキー山上に建つオーバールック・ホテル。小説家を志望するジャックは、雪深い冬期は閉鎖されるホテルの管理人としての職を求め、妻と幼い息子を連れ、ホテルを訪れます。前任の管理人が家族を惨殺した上、自殺を遂げたいわく付きのホテルであることを支配人から知らされますが、ジャックは創作に専念できる環境とあって、全く意に介していません。
ホテルが閉鎖される日、厨房の主任を担当するハロランは、ジャックの妻ウェンディと息子ダニーにホテル内を案内します。ダニーが自分と同じ、シャイニング(輝き)と呼ばれる不思議な能力の持ち主であると気付いたハロランはある注意を促し、ホテルを去るのでした。
外界から隔離されたホテルで始まった家族3人だけの生活。ほどなくして、ダニーはホテル内で様々な超常現象を目撃します。そして徐々にジャックにも異変が現れ…。

80年代ホラーの金字塔として高く評価される一方で、原作とのあまりの違いにスティーブン・キングが激怒、監督のスタンリ-・キューブリックと対立した話でも知られる本作。実際に後年、キング自身が製作総指揮を担当したリメイク版が公開され、こちらも再現度の高さから多くのファンの支持を獲得しました。未見の方は、キューブリック版とキング版を比較して観るのも面白いかもしれません。

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出典:http://gqjapan.jp/

スティーブン・キングの魅力。それは誰にでも起こりうる日常の崩壊を、登場人物たちの心理描写と絡めて、緻密に描いている点にあります。観客の心の奥深くまで訴えかけ、一気に感情移入させストーリーに引き込む手法は本職であるホラー以外でも共通しており、これが多くの名作を生み出す理由の一つと言っても良いでしょう。
真の魅力は原作にあるという評価も多いスティーブン・キング。お気に入りの映画があり、その原作を読んだことがないという方は、一度手に取ってみてはいかがでしょうか。

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