​二階堂ふみ主演『蜜のあわれ』など大正・昭和の小説が原作の映画5選

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『蜜のあわれ』映画オリジナル予告編

4月1日公開、二階堂ふみ主演『蜜のあわれ』の原作は、大正から昭和を代表する作家・室生犀星の昭和34年の小説です。
グレーがかかった空のようなイメージがある当時の作品は、個性あふれる監督たちによって鮮やかに映画化されているものも多くあります。5つの作品を紹介しましょう。

太宰治の自叙伝的作品ともいわれる名作を美しく映像化『人間失格』

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出典:http://www.moviemovie.com.tw/

昭和23年に発行された太宰治の小説が原作。
資産家の息子である葉蔵は人との関わりが苦手なのにもかかわらず、その美しい容姿で女性を虜にしていきます。しかし心は空っぽのまま、人生をあきらめ酒と女におぼれる日々を送り続けます。
何度かの自殺未遂を繰り返し、彼はどんどん壊れていくのです。

生田斗真が葉蔵を演じています。関わりを持つ女たちは、寺島しのぶ、石原さとみ、小池栄子、室井滋…と豪華。
雪の中、葉蔵が倒れるシーンは印象的で悲しく綺麗です。

これぞ推理小説!誰と誰が繋がっているのか、夫はいったい何者なのか『ゼロの焦点』

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昭和33年に発行された松本清張の小説が原作。
結婚して間もない夫婦、憲一(西島秀俊)と禎子(広末涼子)。
ある日出張先で夫が突然行方不明になります。そして禎子は後を追って金沢へと向かい、不自然な事実を知らされます。
同じく駆けつけた憲一の兄は何者かに殺され、部下の本多もまた…。
一体、憲一の過去に何があったのでしょうか。

物語の鍵を握る女性を中谷美紀、木村多江が演じています。

ドロドロした相続争い、猟奇殺人、異様な登場人物と言えばこの作品『犬神家の一族』

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昭和47年に発行された横溝正史の小説。
金田一耕助シリーズの中でも有名な作品です。

財界の大物、犬神佐兵衛が他界し、後に残された莫大な遺産。その遺言状が、探偵である金田一耕介立会いのもと、親族に公開されました。しかし、予想外のその内容に兄弟姉妹たちが険悪な状態となる中で殺人事件が起こります。

もじゃもじゃ頭によれよれの袴姿で事件を解決していく金田一耕介が活躍する原作は、映画、ドラマと何度も映像作品となってこの世に送り出されています。
2006年に公開されたこちらの映画では金田一耕介役を石坂浩二が扮しています。

アーティスティックで過激。個性派監督たちが狂った世界を描きます『乱歩地獄』

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江戸川乱歩の小説をオムニバス形式で映画化した作品。
発行時期は「火星の運河」大正14年、「鏡地獄」大正15年、「芋虫」昭和4年、「蟲」昭和4年。
それぞれの作品を、それぞれ違う監督が手がけました。
主演は浅田忠信、松田龍平、成宮寛貴です。

顔が溶けた死体、愛するあまりの凶行など、乱歩ならではの背筋が凍るような物語を美しい映像で作り上げています。幻想的でコミカルな場面もありますが、後からも思い出してじわっとくる恐ろしさはまさしくホラー。R15指定作品です。

大正時代の貴族社会を舞台にした悲しいラブストーリー『春の雪』

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昭和44年に発行された三島由紀夫の小説が原作。
伯爵の娘・聡子(竹内結子)と侯爵家の息子・清顕(妻夫木聡)は、幼馴染のふたりです。愛し合っていながらもお互い気持ちを確かめあうことができません。
聡子は絶望し、結婚を決めます。そうなってやっと聡子への愛に気づいた清顕。二人はようやく結ばれますが、時はすでに遅く…。
大正初期、華やかな一族同士の悲恋を描いています。当時のファッションや街の雰囲気、そして竹内結子が演じる古風な女性が美しい映画です。