少女の心を描かせればこの人の右に出る者はいない、と言われる山戸結季監督。2012年、上智大学在学中に手がけた処女作で映画界を震撼させました。近いうちに世界へ出る新進気鋭の監督と言われています。そんな山戸監督の心に残る青春映画を紹介します。
少女の内面を繊細に描き絶賛を浴びた『あの娘が海辺で踊ってる』
アイドルに憧れる高校生の舞子。自意識過剰な彼女は、学校では嫌われている存在。自分でもそれがよくわかっていました。日本舞踊が趣味の少女、菅原だけが舞子の友達でした。しかし、2人の男子との出会いがきっかけで舞子と菅原の間にも異変が…。
山戸監督が上智大学映画研究会に所属していた、現役大学生時代の初監督作品。東京学生映画祭に出品され、審査員特別賞を受賞しました。学生映画にもかかわらず、その表現力は絶賛されました。
映画と音楽の融合『おとぎ話みたい』
ある冬の物語。高校生の志保は、新見先生に恋をしました。志保はダンサーを目指す少女です。溢れる思いを伝えたい言葉は止まりません。文学的に、哲学的に、たくさんの言葉が流れていきます。
2013年にテアトル新宿でレイトショーとして公開された作品です。若い女性の支持を受け、実写レイトショー公開作品での動員記録を更新しました。もともとは”MOOSIC LAB 2013”という音楽映画プロジェクトのために作られた作品。
ヒロインの志保が、社会の教師に抱く恋心を追うストーリーと、バンド”おとぎ話”のライブ映像で構成された映画です。
アイドル映画の枠を超えた青春映画『5つ数えれば君の夢』
文化祭が近づき、準備に追われる女子高生たち。メインイベントのミスコンテストで、誰が優勝するか。その話題で持ち切りです。今年こそ、と思っている”宇佐美”、そのライバル”りこ”。そして彼女たちを取り巻く少女たちにも、それぞれ文化祭への想いがあったのです。
ガールズ・ダンス&ボーカル・グループ”東京女子流”を主演に迎え、2014年に公開されました。
山戸監督は、5人と初対面のほんの数分で映画でのキャラクターを決定。ひそかな恋心に悩む少女、ダンスを愛する少女、ミスコンで優勝したい少女…。憧れや切なさ、葛藤といった少女特有の感性を描き出した作品です。
触れると崩れてしまうような危うい青春『溺れるナイフ』
東京で雑誌のモデルとして活躍していた夏芽。突然、田舎へ引っ越すことになります。仕事からも遠ざかってしまい、自分が求めていたものがなくなってしまってつまらない毎日。その美貌は田舎では浮いてしまい、否が応でも目立ってしまいます。しかし、同じように孤独なコウと出会い、ふたりの距離は近づいていくのでした。
2016年秋に公開予定の山戸監督最新作。小松菜奈、菅田将暉という旬のキャストで、人気コミックを映画化しました。
山戸監督は、彼らの少年少女の時代が終わろうとしている瞬間を映画にできた喜びを語っています。
山戸結季監督の映画は、ヒロインたちと同じ世代の少女たちにとっては自分の分身のように感じるものがあり、共感し、安心し、勇気をもらえます。そして大人にとってはノスタルジックで、少女たちのストレートな想いにちょっと涙が流れてしまうような、そんな作品です。
小松菜奈×菅田将暉という話題の新作も楽しみですね!
『あの娘が海辺で踊ってる』
©上智映画研究会2012
『おとぎ話みたい』
©寝具劇団
『5つ数えれば君の夢』
©2014『5つ数えれば君の夢』製作委員会
『溺れるナイフ』
©ジョージ朝倉/講談社 ©2016「溺れるナイフ」製作委員会