【シネマジーンの映画ノート】『世界でいちばん長い写真』レビュー

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そして登場人物たちも個性的なのに超リアル!とにかく出演者が“普通”になりきれていて、“こんな人いそう…!”というキャラクターを見事に体現しています。美しく整った顔立ちの高杉さんは、一体そのオーラどうやって消しているの?というくらい、劇中ではごくごく普通の高校生に変身。温子(武田梨奈)と智也(水野勝)は近所にいそうな優しいお姉さん、お兄さんといった雰囲気がとても自然な二人です。

宏伸の同級生たちも「いるいる…!」なキャラクターが勢揃い。確か自分のクラスにもこんな人たちがいたような、と思わず卒業アルバムを見返したくなるほどでした。三好(松本穂香)みたいな女子は、合唱コンクールで「男子ちゃんと歌って」って言うけど、ちゃんとやってくれないと泣いてしまうような、強そうに見えて意外と繊細な一面もあるタイプ。少しおバカだけど憎めない淳(前原滉)だったり、独特な世界観を持っている芸術派な敬太(田村杏太郎)や真奈美(森田望智)だったり、元気で明るい活発なエリカ(黒崎レイナ)だったり。そして脇役ながらインパクト大の小林(前原瑞樹)。彼が印象的だった方、きっと私だけではないはず!少し独特で関わりづらいと思っていたけど、話してみると“めっちゃいい人じゃん…!”と気付くような存在。セリフの言い回しも特徴的で、思わず惹き込まれました。

そんなタイプの違うみんなが一致団結するのが文化祭!文化祭って当日はもちろん、それ以上に準備期間が楽しかったりするものですよね。普段はなかなか関わらないような人と話すことで新たな発見があったり、「何しよう?」「もっとこうすればいいんじゃない?」「これいいかも!」と話し合って、みんなで一緒に一つのものを作り上げていく、その過程にはとてつもないドキドキとワクワクが詰まっています。

この作品を観ていると、自分は決してこのメンバーの中にはいないのに、気がつけば一緒に青春を共にしたような感覚を覚えます。それはきっと作り手であるキャストと監督、スタッフ一同が本気で青春を送っていた証。『せか長』チームが“作り上げた”青春ではなく、“実際に過ごした”青春が、この作品には反映されていました。温子役の武田さんが初日舞台挨拶でコメントしていたように、「日常の中の小さなきらめきが光って見える」本当にそんな映画だなと感じました。

最後にもう一つ、この映画で注目してほしいのがエンドロール!本作ならではという感じの一味違ったものになっていますので、ぜひ劇場でご覧になってみてくださいね!

映画『世界でいちばん長い写真』は6月23日(土)より絶賛公開中!あなたも本作に自分の青春を見つけてみてはいかがですか?

『世界でいちばん長い写真』ストーリー

高校写真部の内藤宏伸(高杉真宙)は引っ込み思案がたたり、部長の三好奈々恵(松本穂香)に怒られるばかり。人物写真をテーマにした写真品評会も人を撮るのが苦手な宏伸にとっては苦痛でしかなかった。しかし、高校最後の夏休みのある日、宏伸は従姉の温子(武田梨奈)が店長をしているリサイクルショップで今まで見たことがない大きなカメラと出会う。カメラの使い方がわからない宏伸は温子の勧めで近所の写真館の店主・宮下(吉沢 悠)を訪ね、このカメラは360度長い写真が撮れるよう改造された世にも珍しいパノラマカメラだということが判明する。宮下に使い方を教えてもらい、宏伸はパノラマカメラで最初の360度撮影する。現像した写真を見て、いままでにない感動を感じた宏伸は次の日から360度撮影したい景色を探して街を自転車で駆け巡る。そうしてようやく辿り着いたのは温子の旧友、智也(水野 勝)が育てるひまわり畑だった。

『世界でいちばん長い写真』公式サイト
2018年6月23日(土)~シネ・リーブル池袋・イオンシネマ全国順次ロードショー
©2018 映画「世界でいちばん長い写真」製作委員会

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