のん・片渕監督登壇、感謝の思いを語る!映画『この世界の片隅に』夏の再上映舞台挨拶レポート

イベントレポート

第二次世界大戦中の広島・呉を舞台に、激化していく世の中で大切なものを失いながらも、日々を大切に前を向いていく女性・すずを描いた珠玉のアニメーション作品『この世界の片隅に』に新たに約30分の新規シーンが描き足された『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』が12月公開となります。そしてこの夏、テアトル新宿で『この世界の片隅に』が再上映され、8月15日(水)に主人公・すずを演じるのんさんと片渕須直監督が登壇し、舞台挨拶が行われました。

『この世界の片隅に』テアトル新宿再上映 舞台挨拶

鳴り止まない拍手の中、壇上に登場したのんさんは「久しぶりにテアトルに来られて嬉しいです、今日は宜しくお願いします」と挨拶し、監督も「642日を超えて1日も欠かさず全国で上映を続けていただいて。初めて舞台挨拶をさせていただいたこの会場で、このコンビで舞台挨拶ができて嬉しいです」と、思い入れのあるテアトル新宿という劇場への思いを語りました。

のん・片渕監督登壇、感謝の思いを語る!映画『この世界の片隅に』夏の再上映舞台挨拶レポート

公開時より、いまなおロングランが続いていることに関して監督は、「映画を作っているときは、クラウドファンディングでたくさんの方々に支援をお願いして、出来上がった後も沢山の人が作品を応援してくれて今日に至っていると思っています。お客さんも、マスコミの皆さんも、劇場も、私たちのため上映の場所を与えてくださっているのです。」と語り、のんさんも「この作品に参加して、これほどまでに長く作品と付き合うことが初めてなのでとても貴重な体験をさせてもらっています。こんなにみなさんに愛されている作品は、世界中どこを見てもこの作品だけなのではないか。と思ってしまうくらいです!」と喜びの表情で語りました。

舞台挨拶が行われた8月15日(水)は終戦記念日。劇中ですずが終戦を知り悔し泣きをするシーンについて、のんさんは「すずさんのリアルな気持ちを表現できるように、スタジオの照明を消して頂いて、真っ暗の中で集中してアフレコをしました。」と、作品の肝になるシーンの収録秘話を明かしました。

のん・片渕監督登壇、感謝の思いを語る!映画『この世界の片隅に』夏の再上映舞台挨拶レポート

終戦記念日である15日に舞台挨拶を行ったことに関して片渕監督は、「この映画を作っている最中に、この映画を公開するならやはり8月だよね。というお話をたくさん頂きましたが、すずさんの人生は8月だけでなくその他にも長い日を生きて来ています。そのことを皆さんにも伝えたくて、11月の公開になりました。でも8月は終戦記念日や、原爆投下の日があるので、この映画を観てもらって、皆さんのおじいさんやおばあさん、親戚の方たちが、すずさんが生きて来た時代をどのように過ごしていたのかを、重ねて思い浮かべてもらえる機会になったらありがたい。」と、本作に込めた思いを語りました。

また、「8月15日はポツダム宣言受諾の日で、実際に戦争が終わったのは8月22日の午前0時なんですよ。その間に色々なことがあって、例えばラジオは、もし玉音放送が入らなかったら「民謡の旅」という番組をやっているはずだったんです。戦争中だけど、そういう日常が流れていたのが終戦によって途切れて、ラジオはその後時報とニュースだけになりました。そのあと、一番最初に復活したのが天気予報で、その次がラジオ体操。このように、ラジオの放送をとっても、戦時中に“普通の暮らし”があったことがわかりますよね。」と、ラジオを通して、今と変わらぬ当時の暮らしについて語りました。

のん・片渕監督登壇、感謝の思いを語る!映画『この世界の片隅に』夏の再上映舞台挨拶レポート

のんさんは、12月に上映する本作の長尺版『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』の本編アフレコに向けてへの意気込みを聞かれると、「これから付け足していくすずさんのシーンは、大人っぽいすずさんなので、その部分の解釈を自分なりに掘り下げて、監督と密に相談しながら、演じていきたいです!」と次回作への意欲を見せ、終始和やかなムードで舞台挨拶は終了しました。

映画『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』は12月全国公開。

『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』ストーリー

ここではひとりぼっち、と思ってた。
広島県呉に嫁いだすずは、夫・周作とその家族に囲まれて、新たな生活を始める。昭和19(1944)年、日本が戦争のただ中にあった頃だ。戦況が悪化し、生活は困難を極めるが、すずは工夫を重ね日々の暮らしを紡いでいく。ある日、迷い込んだ遊郭でリンと出会う。境遇は異なるが呉で初めて出会った同世代の女性に心通わせていくすず。しかしその中で、夫・周作とリンとのつながりを感じてしまう。昭和20(1945)年3月、軍港のあった呉は大規模な空襲に見舞われる。その日から空襲はたび重なり、すずも大切なものを失ってしまう。そして昭和20年の夏がやってくる――。

のん・片渕監督登壇、感謝の思いを語る!映画『この世界の片隅に』夏の再上映舞台挨拶レポート

『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』公式サイト
テアトル新宿・ユーロスペースほかにて12月全国公開
声の出演:のん 細谷佳正 稲葉菜月 尾身美詞 小野大輔 潘めぐみ 岩井七世 牛山茂 新谷真弓/ 澁谷天外(特別出演)
原作:こうの史代「この世界の片隅に」(双葉社刊)
キャラクターデザイン・作画監督:松原秀典
美術監督:林孝輔
音楽:コトリンゴ
監督・脚本:片渕須直
配給:東京テアトル
(C)2018こうの史代・双葉社/「この世界の片隅に」製作委員会

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