『葛城事件』や『日本で一番悪い奴ら』など、実際の事件をモチーフに映画化した邦画作品

レコメンド

三浦友和、新井浩文らが出演するヒューマンドラマ『葛城事件』。綾野剛さんが史上最も悪い主人公を演じる『日本で一番悪い奴ら』。現在公開中のこの2作品に共通するのは、どちらも実際に起こった事件をモチーフにしている、ということ。「事実は小説よりも奇なり」。そんな言葉を実感するような作品をご紹介いたします。

懸命に生きた子供たち『誰も知らない』

2004年に公開された是枝祐和監督が製作した映画です。1988年に起きた巣鴨子供置き去り事件を題材とした映画です。
母親と4人の子供たちがアパートに越してくるも、母親は新しい彼氏を作り金銭的な援助をするのみ。次第にその援助も途絶えてしまい、ついには電気・ガス・水道といったライフラインも断たれてしまいます。取り残された子供たちが辿る運命とは―。
主人公である長男・明を演じる柳楽優弥の訴えかけるようなまなざしが、強く印象に残る作品です。この作品で柳楽優弥はカンヌ国際映画祭、史上最年少・日本人初の最優秀主演男優賞を受賞しました。

日本の司法制度に疑問を投げかける『それでもボクはやってない』

2000年に起きた西武新宿線痴漢冤罪事件をきっかけに、周防正行監督が自ら取材した多くの冤罪事件のエピソードがちりばめられた、2007年公開の作品です。
フリーターの金子徹平は、朝の通勤ラッシュの中、就職面接へ向かいます。しかし、女子中学生に痴漢と間違われ、濡れ衣を着せられてしまいます。そのまま事実確認をすることもなく、起訴されてしまうのです。
有罪率99.9%とも言われる、日本の司法制度に疑問を投げかける一作です。

あの日、御巣鷹山で何が起きたのか?『クライマーズ・ハイ』


クライマーズ・ハイ
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御巣鷹山、と聞けば思い出す人も多いであろう日本航空123便墜落事故と、この事件の取材にあたった地元新聞社、上毛新聞をモデルにした小説が原作の映画です。未曽有の大事故をどう取材し、報道すれば良いのか、葛藤する新聞社の様子が描かれています。
主演は堤真一、助演に堺雅人や尾野真千子など、実力派の俳優陣が顔を揃えています。

普通の家庭が生み出す凶悪犯とは『葛城事件』

2001年に発生した附属池田小事件と呼ばれる小学生無差別殺傷事件を基に、加害者家族の混沌とした人間模様を描き出した映画です。父親・葛城清役に三浦友和、母親・葛城伸子役に南果歩を迎え、兄・葛城保に新井浩文、そして事件を起こす葛城稔役に若葉竜也を据えた本作では、主に加害者家族の葛藤や、事件後に巻き起こる家庭崩壊を克明に描いています。
精神鑑定、獄中結婚、死刑制度、あらゆる角度から凶悪犯罪とその後を描く本作は必見です。

日本警察史上最大の不祥事!『日本で一番悪い奴ら』

綾野剛主演で映画化された本作の原作は、刑期を終え出所した稲葉圭昭が自ら綴った「恥さらし 北海道警 悪徳刑事の告白」です。基となった事件は稲葉事件とも呼ばれ、北海道警察から多数の逮捕者を出し、自殺者も出るなど、日本警察史上最大の不祥事とも言われています。綾野剛演じる主人公稲葉は、銃器の摘発などで目覚ましい成果を上げた北海道警察のエースと呼ばれる存在。正義を胸に警察官への道を歩んだ稲葉がなぜ悪徳刑事となってしまったのか、綾野剛が魅力たっぷりに演じ切っています。

『葛城事件』や『日本で一番悪い奴ら』など、実際の事件をモチーフに映画化した邦画作品いかがでしたか?実話が基になった映画は、常に強くメッセージを発しています。その味わい深さを堪能してみてはいかがでしょうか。

『誰も知らない』
©「誰も知らない」製作委員会

『それでもボクはやってない』
©2006 フジテレビジョン アルタミラピクチャーズ 東宝

『クライマーズ・ハイ』
©「クライマーズ・ハイ」フィルム・パートナーズ

『葛城事件』
©2016『葛城事件』製作委員会

『日本で一番悪い奴ら』
©2016「日本で一番悪い奴ら」製作委員会

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