映画料金で本格舞台を楽しめちゃう!一度観たら新感線ワールドに陥落間違いなし!「ゲキ×シネ」の魅力とは?

レコメンド

②最高すぎません!?カメラワークに終始大興奮!

 

そしてとにかく私が震えたのは緻密に計算されたカメラワーク!なんかもう、うまく表せないのですが、とにかく最高なんです!映画撮影などで用いられるシネマカメラを20台以上使用した「ゲキ×シネ」ならではの、こだわりをものすごく感じました。

例えば天魔王の登場シーン。真っ暗になった舞台上、奥から射しこむ光とともにシルエットが浮かび上がり、少しずつ前に歩いてくる天魔王を足からゆっくりじっくり嘗めるようにティルトアップ(※1)。なんともダークで物々しく、とんでもない緊迫感に襲われる。既に観たことがある人なら「キタキタ!これなんだよな!」と言わんばかりに興奮させられるし、観たことがない人にとっては「うおぉ…早く全貌を見せくれ…!」と前のめりになってしまうほど最高の焦らしに。

登場だけではなく、去っていくときもまた胸アツなんですよね。何かを物語る背中も、いろんな角度から攻めることで一味も二味も違ったものになる。魅せるってこういうことなんだろうなって、しみじみと感じさせられました。

それから“コントラスト”がまたおもしろい!画面手前で何かが行われているとき、その奥で交わされているやり取りがとんでもなくシュールだったりするんですよ。関八州荒武者隊たちって基本的にみんなでわちゃわちゃっとして自分たちの存在をアピールするのですが、その後ろで捨之介は女と絡んでいたり、蘭兵衛は顔色一つ変えず無反応、といった具合に全然相手にされないんですよね(笑)こういう温度差のある笑いも、両者を一画面におさめることで、分かりやすくもなるし、より一層おもしろさも引き立っているなと…!

ある人物を映すときでも、単にその人物を映すのと、相反する人物を手前に置いて映すのとでは深みが全然違う。天魔王と捨之介の場面でも、天魔王越しに捨之介を見ることで、捨之介が天魔王を瞳で捉えているのがもっとリアルに感じられるし、なんかもっとゾワゾワする。

あえて定点で映し出す場面と、激しくカットが切り替わるシーン、そのカット割りの違いによって一体そのシーンをどう魅せたいのかを知ることができます。奥深い…。

※1・・・カメラワークの一つで、はじめ足元を映しそのままカメラを上に向ける撮影方法。 人物の衣装を見せたい時などに使う。