どうやって実写化するの?『イニシエーションラブ』など叙述トリックを使った映画5選

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「叙述トリック」というトリックをご存知でしょうか。推理小説の奥の手とも言われるこのトリック。絵や映像でない小説だからこそできる、「読み手の思い込み」を利用したトリックです。例えば連続物のシリーズで、常に語り手が主人公であったとすれば、叙述トリックを使う話のみ語り手を別な人間にし、主人公を登場させないなどすることがこれにあたります。当然ながら、映画として描くのはほぼ不可能。しかし、昨今は叙述トリックをうまく映画化したものが生まれています。
今日はそんなトリックにひっかかりたいor見破りたいあなたのために、叙述トリックを使った映画を5作ご紹介いたします!

原作も思わず二度読みたくなる?『イニシエーション・ラブ』

原作発売当時、「登場人物は騙されていないのに、読み手が必ず騙される」恋愛小説として有名でした。登場人物のすり替えという大胆なトリックながら、伏線が非常に巧妙で最後の一文までまったく気づかれないことが話題になったのです。そして、登場人物のすり替えというトリックゆえに「絶対映画化不可能」とも言われていました。一見ただの淡い恋物語を描いた作品なのですが、登場人物と、あともう一点、見事にすり替えられているものがあります。このダブルトリックに、ぜひ挑戦してみてください。

身分違いの恋に身を焦がす『きみに読む物語』

きみに読む物語
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時間軸を操作する叙述トリックを用いた映画。当然映画では時計屋新聞など日付がわかるものをうつしたり、人間関係の状況がわかるシーンを導入するなど、さりげなく伏線をはらなくてはいけません。アルツハイマーを患った老女と、彼女に物語を読んで聞かせる老紳士。二人の関係に気付いた時、その愛の深さに思わず涙がでます。

夢と記憶の交錯する不自然な世界観が魅力『エターナル・サンシャイン』

エターナル・サンシャイン
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もし「あなたの恋人は、あなたに関する記憶を消去しました」なんて手紙が届いたら、どうしましょうか?この作品は仲違いから彼女が「記憶除去手術」を受けてしまい、自分も受けようとする男性視点で描かれています。しかし、彼女との思い出はあまりにも美しく、手術中に記憶を保持するよう彼は抵抗をはじめます。夢と記憶とが交錯する不思議な世界観。果たして今見ているのは現実?それとも記憶?本来であれば描き分けるのが不可能な設定を、見事に映像化しています。
恋人といまモヤモヤした関係の方はぜひみて欲しい一作。愛とはどうすれば長続きするのでしょうか?

一途な想いとは、いったいどれほど深い物なのか。『半分の月がのぼる空』

半分の月がのぼる空
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同名のライトノベルを実写映画化した作品。ライトノベル原作と侮ってはいけません。また、原作既読の方もぜひ一度ご覧ください。映画に合わせて脚本は書き直されており、見事な結末を迎えています。時間軸を操作するタイプの叙述トリックながら、そんなことを一切感じさせない物語の作りになっています。主人公は入院していた病院で、心臓病に侵された少女と出会います。無茶苦茶な命令を聞くうちに、次第に二人は惹かれ合いますが、少女にはタイムリミットが迫っていました。同時にその難病に対し、一度手術を失敗し妻を死なせてしまったために手術したくないと語る医師。
その両者の物語が交錯する時、本当の想いとはどんなものか、目の当たりにすることになります。鮮やかな伏線と、結末には思わず涙の一作です。

時間軸のすり替えが鮮やか!『運命じゃない人』

運命じゃない人
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最後はサスペンスものです。時間軸を入れ替えた、見事なトリック構成になっています。また時間軸以外にもすり替わっているものがあり、それに気づくのは最後の瞬間。まさに最後の最後までしっかり観客をダマしてくれる映画です。振られた彼女のことが忘れられずクヨクヨしているサラリーマン宮田と、探偵を営む神田が振り回される一夜の物語。
監督の内田けんじさんはこのような映画の名手で、他にも隠れた名作があります。ぜひ一度ご覧になってくださいね。