美しい自然の景色には、人間による暴力の歴史が眠っていた。静かで痛切なドキュメンタリーフィルム

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『光のノスタルジア』『真珠のボタン』映画オリジナル予告編

天文観測のメッカとして美しい星空が広がるチリの砂漠。そこには人間による暴力の歴史が眠っていました。南米ドキュメンタリーフィルムの巨匠が撮る、2本のドキュメンタリーフィルムです。

チリを舞台に繰り広げられるドキュメンタリー

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『光のノスタルジア』『真珠のボタン』は、広大な南米チリを舞台に、「チリの闘い」で有名な南米ドキュメンタリーフィルムの巨匠であるパトリシオ・グスマンが制作した新たなドキュメンタリーです。
パトリシオ・グスマン監督はチリのサンティアゴ生まれで、ピノチェト将軍によるクーデターの際に2週間身柄を拘束された過去があります。そうした背景もあり、パトリシオ・グスマン監督の作品には、独裁政権下のチリを題材としたものが多く、本作でも独裁政権時代のチリにまつわるエピソードが扱われています。
本作では、南米チリの広大な自然を背景に、天文学で有名なアタカマ砂漠やパタゴニアの独裁政権時代後の現在を扱っています。

『光のノスタルジア』と『真珠のボタン』の2部作として公開

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『真珠のボタン』は、第65回ベルリン国際映画祭で銀熊賞(脚本賞)を、2015年の山形国際ドキュメンタリー映画祭で最優秀賞を受賞したドキュメンタリー映画です。
2011年に同じく山形国際ドキュメンタリー映画祭で最優秀賞を受賞した『光のノスタルジア』とともに、公開されました。

アタカマ砂漠に秘められたストーリー『光のノスタルジア』

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『光のノスタルジア』はアタカマ砂漠を舞台としたドキュメンタリーとなっています。
サンペドロ・デ・アタカマ砂漠は天文観測拠点として有名な場所です。多くの天文学者がこの地を訪れ、宇宙を観測し続けているいわば天文学のメッカでもあります。しかしこの場所は、独裁政権下で行方不明となった人々の捜索を続ける家族たちが集う場所でもあったのです。

パタゴニアの海底から発見された海のボタン『真珠のボタン』

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『真珠のボタン』は西パタゴニアの海底で発見されたボタンから始まるパタゴニアを見つめ直すドキュメンタリーです。
祖国と自由を奪われたパタゴニア先住民へインタビューを行い、詳細なルポを行うことで、独裁政権以降のパタゴニアの今を訴えています。

チリの独裁政権時代を今一度見つめ直すドキュメンタリー作品。
この機会に視聴してみてはいかがでしょう。

『光のノスタルジア』『真珠のボタン』
(c) Atacama Productions (Francia) Blinker Filmproducktion y WDR (Alemania), Cronomedia (Chile) 2010
(c) Atacama Productions, Valdivia Film, Mediapro, France 3 Cinema – 2015