CinemaGene(シネマジーン)

CinemaGene(シネマジーン)

​ ​リアリティ×温かさ。リチャード・リンクレイター監督のビフォア・シリーズで人間味に触れてみませんか?

100493_001
出典:http://onfoodandfilm.com/

ビフォア・シリーズをご存知でしょうか。
『6才のボクが、大人になるまで。』で様々な賞を受賞したリチャード・リンクレイター監督が、18年の間に発表した純愛3部作。その1作ごとに、短い時間の中で移り変わるふたりの想いがギュギュッと詰まっています。
まるですぐそばにいる誰かを、応援するような気持ちにさせてくれる映画です。ウィーン、パリ、そしてギリシャと、それぞれの舞台となる美しい街並みにも注目です。

ジェシーとセリーヌの出会い『恋人までの距離(ディスタンス)』

100493_002
出典:http://www.shaanig.org/

この作品は邦題が『恋人までの距離(ディスタンス)』、原題が『ビフォア・サンライズ』となっています。
ヨーロッパの長距離列車から、ストーリーは始まります。
ぽつぽつと座っている乗客の中の一組の夫婦が、口喧嘩を始めます。近くに座っていたセリーヌは耐え切れず席を移動し、通路を挟んで隣に座っていたジェシーと意気投合し、一緒に食堂車へと向かいます。
子供のような一面を見せるジェシーと、クールなセリーヌ。ふたりの恋の始まりです。

100493_003
出典:http://www.shaanig.org/

会話は途切れなく、ふたりのうきうきした気持ちが伝わってきます。
そして、ジェシーが降りる予定のウィーンに到着する間際、彼はセリーヌを誘います。「ばかみたいかもしれないけれど、今言わないと一生後悔しそうだから」と必死に、一緒にここで降りて一夜だけウィーンの街を歩かないかと。
パリまで行く予定だったセリーヌは下車することを決め、ふたりはウィーンのホームに降り立ちます。そして、そこでやっと名乗りあいます。
名前も知らないまま旅先ですれちがうだけだったはずのふたりは、お互いに運命を感じたんですね。

100493_004
出典:http://oneperfectshotdb.com/

翌朝には、ジェシーはアメリカへ帰るための飛行機に乗らなければなりません。ふたりは路線バスに乗りレコード店、路地、クラブと行き当たりばったりで歩いていきます。
お互いを知るために質問しあったり、その時に思いついたことを話したり。
スクリーンに映し出されるのはとにかくずっと歩いてしゃべっているふたりの姿です。最初はぎこちなく、だんだん打ち解けて「好き」という気持ちが抑えられなくなる表情やしぐさがとっても自然です。そして、夜の観覧車の中で気持ちを確かめ合うのです。

100493_005
出典:http://keikorinn86.blogspot.jp/

しかし、だんだん夜が明けて別れの時は近づきます。
ふとした沈黙が増えていき、辛そう表情に胸がきゅんとします。切ないです。
これきり会わないほうがいいと決めますが、やっぱり気持ちは抑えられません。
朝になり、ジェシーが列車に乗る間際に、半年後にここで再会する約束をします。

冒頭からの気持ちの高まりからエンディングにかけての心の葛藤がひしひしと感じられて、一緒にその場にいるような気持になります。

あの別れから9年後『ビフォア・サンセット』

100493_006
出典:http://sonicrights.blogspot.jp/

前作のラストシーン、その半年後にはたしてふたりは会えたのか。それが明らかになる第2作目です。
セリーヌと運命の出会いをしてから9年が経ち、ジェシーはあの一夜を題材に小説を書きました。そのプロモーションでパリを訪れ、とある本屋でインタビューを受けています。
その人ごみの中に見つけたのは、9年前と変わらない笑顔のあのセリーヌ。当時の「半年後に再会する」約束は果たされないままだったのです。しかし、昔と同じように次々と会話が弾むふたり。ジェシーは次のプロモーションのため移動しなければならず、たった85分間しか時間はありません。

100493_007
出典:http://www.fwweekly.com/

セリーヌは本屋の告知でジェシーが来ることを知り、会いに来たのでした。
彼らはコーヒーショップ、遊覧船と楽しみます。ふたりの軽快な会話は健在です。
あの約束の日、セリーヌは祖母が亡くなりウィーンの駅へ行けなかったことを告白します。しかし、ジェシーは約束通り行っていたのでした。
しかし今こうして会えたのだから、と、これまでの9年間を埋めるようにお互いのことを話し続けます。
パリの街並み、セーヌ川がとても美しいです。

100493_008
出典:http://criticsroundup.com/

ジェシーは妻と関係がうまくいっていないこと、ずっとセリーヌを想い続けて本を執筆したことなどを語ります。一方セリーヌは環境保護団体で働き、恋人もいることを語ります。
しかし、時間が経つにつれてジェシーは後悔を口にするようになります。「なぜ、あの半年後に僕らは会えなかったんだ。もし会えていたら絶対運命は変わっていた。」
タイムリミットのある中で、また昔のようにお互い求めあっていることがわかってくるのです。
大人になったふたりは前作ほど気持ちをストレートに表現しませんが、どんなに抑えていてもその会話の端々や表情にあらわれていて、見ていてドキドキします。

100493_009
出典:http://lyriquediscorde.com/

最後にセリーヌはジェシーを部屋へ招き入れます。彼女はギターを弾き歌い、踊ります。大笑いするふたりがほほえましいです。ふたりの間にそれ以上のことは起こりません。ただただ、ふたりで変わらずしゃべり、笑っているのです。
そこでエンドロール。後はご想像にお任せします、といった感じで終わります。
85分間という時間制限のあるストーリーを80分程の作品として作られているので、場所も時間も流れのままにずっとふたりを追っているような映画です。

再会からまたまた9年後のふたりの生活『ビフォア・ミッドナイト』

始まりはギリシャの飛行場。ジェシーは、これから飛行機に乗る息子を見送るところです。ふたりの会話から、どうやら離婚してジェシーのもとに遊びに来ていた息子が妻のところに帰るのだとわかります。
そして、見送り後ジェシーが戻った車ではセリーヌが待っています。後部座席にはかわいい双子の女の子。ジェシーとセリーヌは結婚したんですね。

100493_010
出典:http://athenacinema.com/

ギリシャへは休暇で来ています。友人たちと楽しい日々を過ごし、もうすぐ元の生活に戻る予定です。ジェシーの小説は2作目を発表し、3作目の構想をしているところです。テーブルを囲み、年を重ねた紳士やまだ若いカップルなどの色々な話が続きます。
1作目の『ビフォア・サンライズ』から同じく、聞いていて共感できたり、嫌悪したりと自分も参加しているような気分になれる、自然な会話が魅力的です。

100493_011
出典:http://athenacinema.com/

ジェシーとセリーヌは、休暇の最後に友人たちプレゼントしてくれたホテルでふたりきりの一日を過ごすことになります。
しかし、そこで彼らは大喧嘩をします。この3作品通して、ずっと互いへの愛情が映し出されていたのですが、ここに来て初めて、しかも危機的な仲たがいを目の当たりにして見ているほうはハラハラします。ラストにユーモアを聞かせて仲直りをするシーンは、さすが!そしてふたりの変わらない愛に感動します。

100493_012
出典:http://www.thesaint-online.com/

1995年に『ビフォア・サンライズ』が公開され、2004年『ビフォア・サンセット』、2013年『ビフォア・ミッドナイト』が公開されました。出会ったころは20代前半、そして9年後は30代、そのまた9年後は40代…と、18年間を通して演じた俳優は変わりません。ジェシー役はイーサン・ホーク、セリーヌ役はジェリー・デルピーです。歳を重ねて外見も環境も変わっていきますが、その長い年月をを3作品を通して観客は見守り続けます。だからこそ、ふたりの性格も気持ちも手に取るようにわかるのかもしれません。
リチャード・リンクレイター監督のリアルで暖かいドラマを味わってみてたい人は、ぜひこの作品を手に取ってくださいね。

『ビフォア・ミッドナイト』
1月18日、Bunkamura ル・シネマ、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿バルト9、ほか全国ロードショー!
(C)2013 Talagane LLC. All rights reserved.

Facebookコメント

Return Top