読んだことのある小説も、映画になれば、また違った印象で見直すことができます。2016年も、そんな体験をさせてくれる映画が目白押し。今回は小説を原作とした映画5作品をご紹介します。
イギリス暗黒街に君臨した伝説のギャングを追った『レジェンド 狂気の美学』
1960年代ロンドン。イギリスが栄光に満ちた輝かしいこの時代は、また、暗黒街が栄華を極めた時代でもありました。その象徴のひとつがクレイ兄弟です。実際に存在したクレイ兄弟のことをつづった小説「ザ・クレイズ 冷血の絆」を下敷きに、本作は製作されました。
双子の兄弟であるロナルドとレジナルドは、10代のころからアル・カポネのようなマフィアを夢見ていました。夢を叶えるために2人がとった行動は、派手に暴れて伝説になること。メディアを利用し、警察を挑発し、クレイ兄弟は暗黒街を上り詰めていきます。
トム・ハーディがひとり二役で双子を演じています。双子とはいえ性格は正反対の2人を見事に演じ分けて見せました。
黒木瞳が映画監督に挑んだ意欲作『嫌な女』
堅物な女弁護士・石田徹子(吉田羊)は、ストレートで司法試験に合格した才媛。結婚もし順風満帆な人生を送っていましたが、どこか満たされない日々を送っていました。いつしかそれは仕事にも出て、仕事はできるが温かみがないと言われるまでに。
そんなある日徹子のもとに、ある人物から弁護依頼が入ります。依頼人の小谷夏子(木村佳乃)は、徹子の従妹でした。派手で目立ちたがり屋の夏子が苦手な徹子でしたが、婚約破棄で慰謝料を請求されたという夏子の弁護を担当することになります。
原作は桂望実の同名小説。この小説にほれ込んだ黒木瞳が自ら交渉し、映画化権を獲得し映画化しました。
主役級7人の俳優が織りなす珠玉のヒューマン・ミステリー『怒り』
物語の始まりはある暑い夏の日、八王子です。「怒」という血文字が残された夫婦殺害事件が発生。犯人は顔を変え逃亡を続け、1年がたっても未解決のままでした。
そして事件から1年がたった千葉、東京、沖縄には素性のわからない男たちがいました。それぞれの場所で彼らは出会い、愛し合うようになりますが、素性のわからない男たちを愛することに次第に迷いが出始めます。
渡辺謙、森山未來、松山ケンイチ、綾野剛、広瀬すず、宮崎あおい、妻夫木聡という主役級俳優7人が終結し、名実ともに日本のオールスター作品となった本作は吉田修一の同名小説が原作となっています。
実力派キャストで贈るスパイ・サスペンス『われらが背きし者』
あるイギリス人夫婦が、人生をやり直そうと訪れたカリブ海へのバカンス。たった1ゲーム見たテニスの試合をきっかけに、ロシアン・マフィアとMI6の取引に巻き込まれてしまいます。政治、金、愛、信頼をかけた壮大な亡命劇が幕を開けようとしていました。
実際にスパイだった経験を持つ、スパイ小説の大御所ジョン・ル・カレの同名小説を原作とし、ユアン・マクレガー主演で映画化した作品です。共演にステラン・スカルスガルドやナオミ・ハリスといった実力派が名を連ねています。
ジャック・リーチャーが帰ってくる!『ジャック・リーチャー NEVER GO BACK』
2012年トム・クルーズ製作・主演で映画化された『アウトロー』の続編にあたる作品です。
元陸軍憲兵隊捜査官のジャック・リーチャー(トム・クルーズ)は、陸軍除隊後全米を放浪していました。法も証拠も関係なく、ただ己の信じた正義のみを執行するジャック。そんな彼は今回陸軍へ舞い戻ります。しかしリーチャーを呼び寄せた女性はスパイ容疑で拘束されていました。
小説が原作の映画をご紹介しました。いかがでしたか?小説から読むもよし、映画から楽しむもよし。公開まで時間がある作品は小説やシリーズ前作を見て予習するのもいいかもしれません。
『レジェンド 狂気の美学』
©2015 STUDIOCANAL S.A. ALL RIGHTS RESERVED.
『嫌な女』
©2016「嫌な女」製作委員会
『怒り』
©2016映画「怒り」製作委員会
『われらが背きし者』
©STUDIOCANAL S.A. 2015
『ジャック・リーチャー NEVER GO BACK』
©2015 PARAMOUNT PICTURES. ALL RIGHTS RESERVED.
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