CinemaGene(シネマジーン)

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「曾根崎心中」など、様々な恋模様を綴る小説家・角田光代の読んでおきたい恋愛小説

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出典:http://www.asahi.com/

角田光代さんの小説をご存知ですか?近松門左衛門の戯曲を翻案した「曾根崎心中」を始め、男女の純愛を多く描いている小説家です。今恋愛中の人も、そうでない方にも、是非読んでいただきたい、角田光代さんのおすすめ小説をご紹介いたしましょう。

曖昧な気持ちでモヤモヤしている時に読んで欲しい「だれかのいとしいひと」

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どうにもならない恋ってあるの?――転校生じゃないという理由で振られる女子高生、別れた男の部屋に忍び込むフリーター、親友の恋人とひそかに付き合う癖のある女の子、別れを感じつつも遊園地デートするカップル。どこにでもいるような、不安定で人生に迷っている主人公たち。ちょっぴり不器用な男女の恋の終わりを描いた短編集です。

人生の歯車がうまくいっていない時、自分の恋が終わりそうな予感がする時、コメディを見て無理やり元気になろうとするよりも、この小説をおすすめします。行き場のない気持ちの置き場所がみつかるかもしれません。

他人事のように通りすぎることができない「あしたはうんと遠くへいこう」

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あたしはいつか、この小さな場所からどこかへ出ていくことができるのだろうか――田舎の温泉町で生まれ育った女の子・泉。大学進学のために上京し、卒業して、就職して。アイルランドを旅したり、宗教にはまったり、ストーカーに追いかけられたり、子どもを誘拐したり――「今度こそ幸せになりたい」そう願いながら、さまざまな恋愛を経験していく泉の辿りつく先は…。

主人公は自分とは違うタイプの人だな、そう思って読み進めていくうちに、感情の端々に“あ~わかる、わかる”と思ってしまう女の子を描いています。最後の一文が、心に残る小説です。

人を好きになるのに理由なんてない「愛がなんだ」

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「私はだた、ずっと彼のそばにはりついていたいのだ」――OLのテルコは、マモちゃんに出会って恋に落ちます。彼から電話があれば仕事中でも携帯で長話、食事に誘われれば早退し、食事誘われるかもしれないと勝手に考え残業します。全てをマモちゃん優先のテルコは、会社もクビ寸前で、周りも引いてしまい人がいなくなっていきます。自分ですら何をやっているんだろうと思うぐらいなのに、それでも想いはエスカレートしていき…。

テルコを馬鹿にしたり見下すには、気持ちがわからないでもない部分もあり、共感というには重すぎます。恋は、理性や理屈ではどうしようも出来ない、そのことが痛いほど描かれています。読後は「愛がなんだ」と思わず言いたくなるような作品です。

男と女の純愛物語「曾根崎心中」

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遊女のお初と手代の徳兵衛は、愛し合う仲でした。しかし徳兵衛の主人は妻の姪と結婚させようと、彼の継母に持参金を渡します。徳兵衛はこの話を断り、お金を返そうとしますが、友人に騙し取られてしまいます。返すお金もなく、詐欺師呼ばわりされることになる徳兵衛。一方、お初にも身請けの話が出て、自分たちが結ばれることはないと絶望した2人は、真夜中に手を取り合い森へ向かい…。

人形浄瑠璃や歌舞伎作者・近松門左衛門の「曽根崎心中」という作品は、どこかで耳にしたことがあるのではないでしょうか?「曽根崎心中」は、曽根崎天神で実際に起こった、お初と徳兵衛の心中事件を題材にした、近松門左衛門の代表作です。上演当時、話題をよんで大ヒットとなり、後に歌舞伎にもなりました。本作は、近松門左衛門の原作を元に角田光代が小説へと翻案した作品です。愛の儚さと切なさ、恋に狂っていく女の哀しさと情熱。今の時代に読んでも胸が痛くなるほど苦しいですが、読んで良かったと思う作品です。

角田光代の作品に出てくる女性は、どこか世間とズレている人が多いです。それなのに、なぜか読んでいると心がざわつきだし、自分でも気付かないようにしていた自分を引っ張り出されてしまうような怖さと面白さがあります。1冊読んでみると、もっと読んでしまいたくなる、おすすめの作家です。

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