コンビニバイトを続ける芥川賞作家!?風変わりな小説家・村田沙耶香とは

レコメンド

芥川賞作家となった現在でもコンビニでアルバイトを続け、作家仲間からは「クレイジー沙耶香」と称される小説家・村田沙耶香さん。コンビニ依存症だとまでいう風変わりな村田さんの小説をご紹介します。

思春期の少女たちの内面を掘り下げたデビュー作「授乳」

授乳
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周囲を注意深く観察しながら、周囲の望む反応を返して生きている「わたし」。特段意志をもって行動するということは無く、仲間外れにされても「それが正しい反応だ」と思って悲しいふりをして見せるような少女です。あるとき母親はそんな少女に大学院生の家庭教師をあてがいます。大学院生が望む行動をとる少女と、周囲の人々が生々しい作品です。
この作品で村田沙耶香は、第46回群像新人文学賞優秀賞を受賞しました。単行本には、表題作のほか2編が収録されています。

化け物となった少女の半生を濃密に描き切った「ギンイロノウタ」

ギンイロノウタ
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臆病な少女だった有里は、文房具屋で見かけた銀色のステッキに恋をします。銀色のステッキで魔法を使い、写真に写っていた背広の男たちから切り取った目玉に見つめられながら、秘密の快楽に酔いしれる有里。しかし、クラスメイトに銀色のステッキが汚されてしまったことをきっかけに、有里は憎しみの化け物へと変貌していきます。

中学二年生の残酷さと美しさを思い出す「しろいろの街の、その骨の体温の」

しろいろの街の、その骨の体温の
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舞台は開発の止まってしまったニュータウン。宙ぶらりんで夢の残骸が散らばるそこに住む少女・結佳が主人公です。離れた場所に立って周囲を分析することで斜に構え、自尊心を保つ結佳。美しく優しい若葉。はっきりとした性格で裏表のない信子。いい子の伊吹君。スクールカーストをテーマに、彼らの人間模様を描く作品です。

倫理観を揺さぶられるストーリー「殺人出産」

殺人出産
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100年後の未来、人口減少に歯止めがかからなくなった世界が舞台です。10人産めば1人を殺せる。人口減少に歯止めをかけるため、そんな殺人出産制度が輸入された日本に生きる育子。育子の姉・環は、強い殺人衝動をもって生まれてきました。強い殺人衝動を満たすために、高校生の時に殺人出産制度に参加。環の10人目出産が間もなく達成されようとしていました。

コンビニ依存症の作者が放つコンビニストーリー「コンビニ人間」

コンビニ人間
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死んだ小鳥を見れば「焼き鳥にして食べよう」と言い、「黙ってほしかったから」という理由で先生のスカートを下す。社会に適合できないまま大人になった倉田恵子は、コンビニでアルバイトを始めます。マニュアルに従って店員になれば、社会の歯車になることができる。そんな喜びを感じた恵子は、大学を卒業しても就職せず、コンビニでアルバイトを続け早18年。ところが恵子の前に「恥ずかしくないのか」と問いかける男性が現れます。

村田沙耶香さん(右)

村田沙耶香さん(右)

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コンビニバイトを続ける芥川賞作家・村田沙耶香さんのおすすめ作品をご紹介しました。重厚なテーマとキャラクターが魅力的な作品をぜひご一読ください。