「自分の役よりも周囲の雰囲気作りを意識した」 映画『ここは退屈迎えに来て』成田凌インタビュー

インタビュー

夢をあきらめた主人公の「私」(橋本愛)や、元カレをあきらめられない「あたし」(門脇麦)など、登場人物たちの痛く、切ない日々を、みんなの憧れの的「椎名くん」(成田凌)を中心に描いていく『ここは退屈迎えに来て』。2004年の高校時代から、大人になった2013年までの月日の中で、いつでもみんなの心の中に存在し続ける「椎名くん」を演じた成田凌さんにインタビューしてきました!

――台本を読んでみて、椎名くんのイメージはいかがでしたか?

椎名くんは“虚像”のような人だと思いました。自分自身は空っぽで何もないのですが、周りにいる人たちのイメージで作り上げられているというか。椎名くんには自分らしさというものがないので、演じるうえでの自由度は高いのかなと感じました。

――役を演じるうえで意識したことは?

2004年のシーンでは、高校生のリアルな感じを出すために、周りの共演者と空き時間によく話したりして関係性を深めていました。やっぱり本当に仲が良くないと芝居でも遠慮が出てしまうんですよね。
それから椎名くんはみんなの憧れで、いつも輪の中心にいる人だと伝わるように、周りの人物たちのやり取りも、なるべく椎名くんを通して展開してもらうようにお願いしました。役自体を作るというよりは、椎名くんを取り巻く環境を作っていた部分が多いと思います。

――確かにとてもリアルな高校生の姿でした!

ちなみに制服のワイシャツの中に黄色のTシャツを着ているのですが、あれは衣装合わせの際に、廣木監督との会話から生まれました。なんとなく“黄色のTシャツ”がいいねと、監督と意見がばっちり合ったんです。あと個人的には意外と制服もまだイケるなと…!(笑)(渡辺)大知くんだって着ていますからね!(笑)

――役に共感した部分はありましたか?

高校生時代の椎名くんは、自分に近かったように感じました。何も考えていなくて、ただみんなでわいわい騒いでいるのが楽しいみたいな。実際僕は高校3年生のときに、進路の話になっても、受験したくないなくらいにしか思っていなかったですし、結局専門学校を受けることになったのも、仲が良かった友達にくっついていっただけなんです(笑)あの頃は本当に何も考えていませんでしたね…

――撮影していて、印象に残っているシーンは?

僕はラストのシーンが印象に残っています。実は高校生のシーンを撮影した次の日に、その10年後を演じていたんですよ(笑)うまく切り替えられるように、前日には一人で飲みに行って、普段飲まないようなお酒を飲んだり。翌日はお酒のおかげでいい感じに老けた顔になっていましたね(笑)でも僕はその感じを出したいなと思っていたのでよかったです。

――実際にご自身で映画をご覧になってみていかがでしたか?

とにかくキャストのみなさんがすごく素敵でした。共演シーンがなかった方々の演技を初めて観て、とてもバランスがよく、ナチュラルで、それぞれが持っている“痛さ”も出ているなと思いました。