CinemaGene(シネマジーン)

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「夏目友人帳」の漫画家・緑川ゆきの世界観

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出典:http://www.nasinc.co.jp/

「夏目友人帳」で大人気の漫画化・緑川ゆき先生の切ないのに優しい作品の魅力にハマっている方も多くいると思います。夏目友人帳の他にも、おすすめの作品があるので、作品の世界観とともにご紹介します。

もどかしいぐらい切なく、じんわりと優しく、どこか懐かしい世界観

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「夏目友人帳」の主人公・夏目は、小さい頃に両親を亡くし、妖が見えるせいで、親戚やクラスメイトなどから変だと思われて遠巻きに見られ、孤独に育ってきました。しかし、心優しい藤原夫妻に引き取られたことをきっかけに、学校でも友達が出来始め、祖母の形見「友人帳」を手にしたことで、今まで避けていた妖怪とも向き合うようになり、夏目自身も成長していきます。
妖怪を含めた登場人物それぞれの、大袈裟ではない繊細なモノローグで描かれる心情が特徴的ですが、それは「夏目友人帳」に限らず、緑川先生の作風の特徴とも言えます。どの作品の登場人物も、少しずつ、ゆっくりと、わかり合って近づいていく距離感や、簡単にはそばにいられないジレンマなど、人と人との関係を丁寧に表現されています。そこから生まれる切なさや優しさ、どこかに置いてきてしまったような懐かしいものが込み上げてくるような気持ちになるところが魅力に繋がっています。ページをめくるうちに、自分がいたあの頃の、匂いや音も思い出すような感傷に浸れます。

展開が気になるミステリータッチなストーリーと、どことなく不思議な空間が魅力

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ちょっとしたミステリーが盛り込まれたストーリー展開も魅力のひとつです。作品や主要人物に入り込みすぎずに、どこか一歩引いた目線で物語が進んでいくため、読者にとっては、自分がより世界観に入りやすいところが魅力となっています。最初に、ちょっとした謎が仕掛けられていることが多いですが、緑川先生の薄く優しい画風と不思議な雰囲気とマッチしていて、続きは気になることはもちろんですが「どうなるんだろう?」と思いながら、その作品の世界観に、気付いたらぐいぐいと引き込まれてしまっているところも魅力のひとつです。

「夏目友人帳」だけじゃない!おすすめ作品

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無口な同級生・辛島に想いを寄せる国府は、偶然に彼が警察の特殊部隊に協力していることを知ってしまいます。辛島の声は、人に暗示をかけることのできる力があり、その能力を活かして協力していました。辛島に近付きたい国府の日常も、その日から一変し…。
「あかく咲く声」は、夏目友人帳の原点ともいえる、切なくて優しい物語であり、辛島の危うさは夏目に似ています。国府が大人しくみえて強い女性で健気なので、気付いたら彼女の辛島への想いを友達のように、応援して、2人の少しずつ近づいていく距離感にじわじわと温かい気持ちになってきます。1人1人の登場人物が、恋愛だけでなく、それぞれを思いやっている優しい物語です。ハッピーなばかりではない展開ですが、読み終わったあとに心に残る作品です。

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優等生の生徒手帳には、殺人計画が書かれていました。何のために書かれたのか、誰を殺そうとしているのか。偶然知ってしまった同級生2人は突き止めようとしますが…。
「アツイヒビ」は、短編集の単行本で、表題作は、ミステリータッチでありながら、優しさがじんわりと染みわたっていくような物語です。登場人物の心情を、丁寧に丁寧に描いていて、学生時代や孤独さのヒリヒリ感がリアルであり、切ないのに、なぜか優しくて、心がきゅうっと締め付けられるような作品です。収録作品の「花の跡」はキリキリとした青春もので、緑川先生の本領発揮といった切なく優しい物語です。

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貧しい村に育った少女セツは、幼なじみの少年ルカに会うため王都へ向かいます。王の妾腹であるルカが即位したと聞きつけたためですが、現れた陛下は、ルカとは別人の人物で…。
中世ヨーロッパを思わせるようなファンタジー作品です。様々な思惑や策略がめぐらされているなか、セツと陛下の純粋で真っ直ぐな思いや行動がキラキラしてみえます。あまりの辛さから逃げてしまう気持ち、誰かがいるから立ち向かえる気持ち、人間の強さも弱さも描かれた作品です。

いかがでしょうか?
緑川先生の作品は、自分の片隅に置いて忘れていた記憶を、ふっとしたシーンで思い出させ、懐かしい気持ちにさせたりします。その時に吹いていた風の感じ方や歩いていた時に聞こえた音までリアルに思い出すほどです。自分の中にあるものを揺り動かされるので、切なく優しく感じるのではないでしょうか。読んだ後は、どこか心に残る作品になるので、気になった方は、是非読んでみてほしい漫画家さんです。

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