世界に誇る前衛芸術家・草間彌生が「水玉」を描く理由

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草間彌生
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日本を代表する前衛アーティスト・草間彌生さん。ビビットな色彩と無数に描かれた水玉模様は、誰もが一度はご覧になったことがあるでしょう。今回は草間さんが水玉を描くようになったきっかけから、彼女の半生とともに作品をご紹介していきます。

無数に描かれる水玉模様は幼い頃に見た幻覚や幻聴がモチーフ

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1929年、長野県松本市で生まれた草間さん。幼い頃から幻覚や幻聴に悩まされており、幻覚や幻聴から逃れるためにそれらを絵にかいて表現することを始めました。水玉は草間さんにとって自身を病から守る方法だったのです。そうして少女時代を過ごした草間さんは京都で日本画を学びますが、日本画壇に失望し故郷の松本へ帰ってしまいます。

訪れた2つの転機

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松本の実家で絵を描いていた草間さんに、転機が訪れます。自主開催した個展に精神科医の西丸四方が訪れ、草間さんの作品に感銘。すぐに絵を購入します。その名が精神医学会で広まり、草間彌生は東京で個展を開催するチャンスを得ます。さらに著名な美術評論家・瀧口修造らがパンフレットに寄稿文を掲載したことにより、瞬く間に芸術界に知られる存在となります。

29歳で渡米し、前衛の女王と呼ばれる

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瀧口修造の紹介で渡米の機会を得た草間さんは、活動の拠点をニューヨークへと移します。この頃から絵画だけではなく立体作品や、「ハプニング」と呼ばれる過激なパフォーマンスを実行しはじめ、ついには「前衛の女王」と呼ばれるまでになりました。

処女小説「マンハッタン自殺未遂常習犯」を執筆。小説家としても活躍

マンハッタン自殺未遂常習犯
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1973年、親友であったジョゼフ・コーネルを亡くすと体調を崩し帰国します。その後1978年に処女小説「マンハッタン自殺未遂常習犯」を発表しました。その後も小説家として活動し、賞も受賞しています。小説にも少女時代の幻覚体験が強く表れていることが特徴です。

1990年代、再び活発に活動を開始

草間彌生とルイ・ヴィトン
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90年代に入り活発に活動し始めた草間さんは、携帯端末のプロデュースや、ルイ・ヴィトンとのコラボなど、商業分野で多彩な活躍を見せています。2000年代に入りその芸術活動が高く評価され、紺綬褒章やフランス芸術文化勲章、旭日小綬章の叙勲を受け、さらに文化功労者にも選出されました。


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現在も第一線で活躍し続ける草間さんは、日本が誇る前衛芸術家と言えます。これからも独自の表現を貫き続ける芸術家・草間彌生さんの活躍に、目が離せませんね。

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