センセーショナルな作風が魅力的な直木賞作家・石田衣良のおすすめ小説

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サイレント・マイノリティや少年犯罪、売春など、センセーショナルな題材を取り上げる小説家・石田衣良。エンターテインメント性を高く保ちながらも、社会に疑問を投げかける作風が高い評価を受けています。今回は石田衣良のおすすめ作品をご紹介します。

池袋で巻き起こる騒動を描く代表作「池袋ウエストゲートパーク」

池袋ウエストゲートパーク
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真島誠は、「池袋のトラブルシュータ―」と呼ばれる名の知れた存在です。物語は、真島の回想という形で進められます。カラーギャングやアニメオタク、ネットアイドルに学習障害を抱えた子供など、個性豊かな登場人物たちが魅力です。様々なトラブルを、時に非合法な手段を用いながら解決していく様子は痛快の一言。
本作は現在シリーズ11作目まで刊行されています。初登場時まだ高校を卒業したばかりだった誠も年を取りました。時間の経過が描かれているのも特徴のシリーズです。

少年犯罪をクローズアップ「うつくしい子ども」

うつくしい子ども
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少年犯罪が話題となった時期に発行された、少年犯罪をテーマにした小説です。
あるニュータウンで、9歳の女児が絞殺されてしまいます。13歳の弟が犯人だとわかり、逮捕された瞬間から14歳の兄をはじめとする家族は、「加害者家族」として生きていくことになってしまいました。しかし兄は街から逃げず、なぜ弟は凶行に駆り立てられてしまったのか、その答えを探して戦い始めます。

人と向き合う仕事を描く「娼年」

娼年
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主人公のリョウは、恋愛や学業にさほど興味も持てないまま、淡々と日々を過ごす20歳の大学生です。20歳の夏、リョウはボーイズクラブのオーナーと出会い、娼夫という仕事に就きます。そこでリョウは様々な理由で男を買う人々と接し、向き合うことになります。
2016年8月に松坂桃李主演での舞台が上演される予定です。

14歳の瑞々しい感性が光る「4TEEN」

4TEEN
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同じ学校に通う14歳の少年たちを主人公にした、短編連作小説です。東京の下町月島を舞台に、人よりも早く老いる病に侵された仲間や、家庭内暴力、孤独死などの社会問題を少年たちの目を通して見つめなおしています。14歳という瑞々しい感性で捉えられる社会問題は、新たな視点、あるいは大人になると忘れてしまう視点で語られています。
本作で石田衣良は直木賞を受賞しました。

社会からドロップアウトした青年たちの戦い「アキハバラ@DEEP」

アキハバラ@DEEP
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秋葉原。それは日本のオタク文化の中心地です。ここには様々な人々が集います。吃音症の青年やハッキングの達人、ミリタリーマニアのメイド喫茶従業員、元引きこもりや潔癖症。そんな6人の若者が集まり、画期的な検索システム「クルーク」を作り上げます。しかしその価値から、彼らはある組織から狙われることになってしまいます。

2006年には成宮寛貴、山田優主演で映画化もされ、忍成修吾や三浦春馬など、若手俳優が多く起用され話題になりました。

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センセーショナルな題材を取り扱いながらも、高いエンターテインメント性を持つ石田衣良の世界にぜひ触れてみてください。

『アキハバラ@DEEP』
©2006「アキハバラ@DEEP」フィルムパートナーズ

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