玉森的親友論は「ケンカできる人」 映画『パラレルワールド・ラブストーリー』玉森裕太インタビュー

インタビュー

主人公の崇史(玉森裕太)は、ある日突然、2つの世界に迷い込んでしまう。1つの世界では麻由子(吉岡里帆)と恋人同士、しかしもう1つの世界では、なぜか麻由子が親友・智彦(染谷将太)の恋人になっていた。目が覚めるたびに世界が変わり、2つの世界で混乱する崇史の前に表れた“謎”の暗号。果たして崇史は真実にたどり着くことができるのか?映像化不可能と言われ続けてきた東野圭吾の傑作ミステリーを描いた、映画『パラレルワールド・ラブストーリー』。

本作で、2つの世界に迷い込み、次第に追い詰められていく主人公・敦賀崇史を演じた玉森裕太さんにインタビュー!親友という存在、人を好きになることについて、玉森さんの考え方とは…?

――まず、原作を読んだ感想を教えてください。

1回読んだだけではストーリーを理解しきれず、3回ほど読んでやっと話を掴むことができました。それくらい複雑な構成で難しかったですね。僕のちっぽけな脳みそで理解するにはなかなか大変でした。

――今回の役を演じると決まったとき、どのようなお気持ちでしたか?

今まで演じたことのない役柄でしたし、ベッドシーンなど、初めて挑戦することも多く、不安やプレッシャーを感じました。

――とある日のカメラテストでは、緊張のあまり震えが止まらなかったこともあったとか…!

自分では冷静だったつもりですが、そう見えたということは、やっぱり緊張していたんだと思います。監督はそんな僕をセクシーだと言っていたみたいで、なかなかスケベな監督ですよね(笑)

――監督は「玉森くんにはギリギリまでプレッシャーをかけていた」とおっしゃっていますが、監督からのプレッシャーを感じた場面はありましたか?

プレッシャーと言うとまた違うかもしれないんですけど、1つのシーンに時間をかけて撮影していた印象はあります。妥協しない方なので、細かい調整を繰り返しながら、何度も撮り直しました。

――2つの世界を描き分けるために、撮影はそれぞれの世界ごとにスタッフを変えて行われたそうですね。そういった工夫があったことで、演じるうえでも切り替えやすくなりましたか?

スタッフが変わると現場の雰囲気も変わるので、違いが明確で分かりやすかったです。どちらの崇史を演じているのか区別するうえで手助けになりました。

――崇史として撮影期間を経て、玉森さんが感じたことは?

自分が存在する世界のつじつまが合わないということに、これ以上にない恐怖を感じました。もし現実に起こったら本当に恐ろしいなと。撮影期間はそんな崇史のことをずっと考えていたら、自然と頬がこけてきたくらいでしたから。でも崇史を演じてみて、うらやましいと思う部分もあったんですよ。

――うらやましい部分、と言うと…?

深い友情を壊せるほどに好きな人を想えるところ。僕にはできないので、崇史がうらやましかったです。今まで自分が想像もしなかったような人生を役として体験したことで、人間的にも大きくなれたし、役者としてやりがいを感じた、とても良い現場でした。

――監督は玉森さんの“ひき込む力”が魅力だと話していますが、逆に玉森さんが監督にひき込まれたところはありましたか?

公園で撮影するシーンがあったんですけど、そこに大きなすべり台があったんですよ。現場ではシリアスな表情ばかりだった監督が、その日一番というくらいの笑顔ですべり台から滑り降りてきて、その姿を見たときはすごいギャップだなと思いました。すべり台をあんなに楽しんでいる大人は、初めて見た気がします(笑)