山田詠美「放課後の音符(キイノート) 」など、繊細で淡い短編小説

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本を読むのが苦手…。読書する時間が取れない…。
そんなあなたにおすすめなのが、短編小説!空いた時間に手軽に読めて、繊細さも味わえる小説を紹介します。

大人でも子供でもない高校時代を思い出す「放課後の音符(キイノート)」

放課後の音符(キイノート)
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女子高生の恋愛を描いた短編集。
いわゆる普通の女子高生よりは、少し大人の女性の物語。甘い恋よりはちょっぴりビター。17歳でこんな恋愛ができる主人公たちを、羨ましく思ってしまう人もいるはず。それでもまだまだ若い女子高生の心情を、詩的に美しく描写してあります。
幸せよりも不幸の方が、人を惹きつけることってありますよね。

異色の地球滅亡SFストーリー「終末のフール」

終末のフール
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突飛の設定とは裏腹に、その世界に生きる人間の姿を繊細に描く伊坂幸太郎のSF短編集。
隕石の衝突で地球が滅亡するというと、ハリウッド映画のように、人類のパニックを描く物語が主流ですが、この短編は明らかに異色。なぜなら、隕石が衝突するのは3年後だから。8年後に小惑星が地球に衝突することがわかり、一時はパニック状態になったものの、5年経ちそのどうしようもなさに人類が少し落ち着いた頃の物語です。
こんな状況のときこそ、人の生き方が表れ、その生き方はどれも素晴らしいのです。

惹かれあいながらも上手くいかない大人の恋愛「クジラの彼」

クジラの彼
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「図書館戦争」で有名な、有川浩の恋愛短編集。
6つの話が1冊になっていますが、共通するテーマはズバリ自衛官との恋愛。一般的な仕事とは違う海上自衛官や、航空自衛官との恋愛は、そう簡単にはうまくいきません。
お互いに惹かれ合いながらも、なかなかうまくいかない大人の女性の恋愛模様が、見事に描かれています。

SF作家の巨匠が手掛ける悲哀に満ちた短編「佇むひと」

佇むひと
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星新一・小松左京と並んでSF御三家と呼ばれる、筒井康隆の短編集。著者は、劇作家や俳優もこなし、作品には戯曲や長編小説などの、幅広いジャンルのものを手掛けている。実験的な作品が多いため、理解しづらいと批判されることも多々ある。しかし、「佇むひと」は中でも読みやすく、著者の中では珍しく静かで悲しい作品が多数収録されています。

溢れ出る感情を繊細に文字に書き起こす「檸檬」

檸檬
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誰もが教科書などで一度は名前を聞いたことのある、梶井基次郎の短編集です。著者は31歳の若さで亡くなったこともあり、ほぼ全作品をこの1冊で読むことができます。身体から湧き出る思いをそのままダイレクトに言葉にする作家も、人が心の奥底で抱く繊細な感情を丁寧に書き起こす作家もいますが、溢れ出る感情を繊細に描写することのできる作家はそうはいません。
時代は変われど、どこか共感してしまう、淡い想いがぎっちり詰まった1冊です。

さまざまな人間模様が1シーンから浮かび上がる「泳ぐのに、安全でも適切でもありません」

泳ぐのに、安全でも適切でもありません
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江國香織の10の短編で、10通りの恋愛の物語が描かれています。
短編となると、1つの話で出てくるのは1シーンだけです。しかし、それを丁寧に繊細に描くのが著者の特徴です。読んでいるのは1シーンだけなはずなのに、その主人公の過去も人物像も、これからのことまでも想像させる描写は、読めば読むほど引き込まれていきます。

繊細で淡く、読みやすい短編を紹介してきましたがいかがでしたか?時間がない人こそ、隙間時間に短編集を読んでみてはどうでしょう。