CinemaGene(シネマジーン)

映画をきっかけに、女の子の毎日をドキドキワクワクさせる

推せるジブリ男子!“本庄”に注目して観る『風立ちぬ』

「やめろ!この男に手を触れるな!」

二郎と本庄は会社から推薦されて最新の航空技術を学ぶためドイツへ留学します。しかしはるばる日本から訪問したというのに、工場は立ち入り禁止であるというユンカース社の対応に、本庄は憤慨しています。そんな折、ユンカース社の格納庫で二郎が飛行機に見入っていると、ドイツの担当者が走り寄ってきて、立ち去るようにとまくし立てます。この時すかさず本庄が間に入り、「やめろ!この男に手を触れるな!これがドイツ人の客に対する態度か!」と声を荒げて言い返すのです。本庄の剣幕にドイツの担当者はすかさずファイティングポーズをとっており、剣呑な雰囲気の1コマ。

ドイツ人担当者に「日本人はすぐ真似をする!技術は我がドイツの財産だ!」と言われた本庄は「偉そうに言うな!こんな旧式機、日本にもいっぱいあらあ!」と啖呵を切り、ここで今度は二郎が本庄を制止して、我々がこの工場に入ったのは契約に基づく正当な行為であると毅然とした態度でドイツ人たちに伝えるのです。平素はどちらかといえばクールな印象を与える、斜に構えたような態度が目立つ本庄の、熱い激情を見ることのできるシーンです。「この男に」という言葉選びからは、単に日本人が蔑ろにされたことへの憤りというだけでなく、親友がぞんざい且つ乱暴に扱われたことへの怒りも感じられます。

同期はライバル

二郎は帰国後、艦上戦闘機の設計に大抜擢されます。その際、上司の服部と黒川に本庄をスタッフにもらえないかと伝えるのですが、黒川からは「やめとけ。同期はライバルだ、組むと友情を失うぞ。」と言われます。同じ夢を追う者としてその技術や知識を認め合いながらも、ただの親友というだけではなくライバルでもあるという線引きをしかねているのが二郎らしいところでしょうか。これは、後のシーンでも感じられることです。

二郎が設計した戦闘機が試運転で失敗し、休暇を取って過ごす軽井沢でヒロイン・菜穂子と再会した後のことです。久々に出社した自身を迎えた本庄に二郎は、「本庄は日本のアキレスだ、20年を一またぎした!僕のはブリキのあひるだった。」と言い、自分の新しいアイディアを盛り込んだ技術を使ってくれと設計図を手渡します。しかし本庄は、ありがたいが今は使わない、図面はもらっておくが二郎が使ってから使わせてもらう、と言うのです。「早く使わせろ!待ってるぞ!」と笑った顔はなんとも爽やか。ここでも本庄が二郎とは対照的に、相手の技術者としての力を認め、親友であるがライバルでもあるという距離感をきちんとはかれていることを象徴しているようですね。その上で追いついてくる時を待っていると背中を押す、かっこいい台詞です!学生時代から切磋琢磨し合い、親友でありライバルという関係を保ってこられた理由がこの台詞にあるのではないでしょうか。

余談ですがこのシーンの最後に二郎と別れる際、本庄は「今度うちに遊びに来い!」と声をかけており、ドイツ留学前に結婚した相手と円満な家庭を築いていることをうかがわせます。

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