推せるジブリ男子!“本庄”に注目して観る『風立ちぬ』

レコメンド

ここまで本庄について注目してきましたが、彼の「俺たちは武器商人じゃない、いい飛行機を作りたいだけだ。」という台詞などは、反戦の思想を持ちながら、ミリタリーマニアであり、戦闘機や武器を映画で描いてきた宮崎監督が内包する矛盾を言い表しているようにも感じる印象的なものです。

また、本作における二郎は、矛盾しながらも純粋に夢を追い続ける宮崎監督の人生のリアルが投影されているように感じるキャラクターです。宮崎監督が自己と自身の人生を多分に投影しているような二郎と、監督が自身の矛盾を受け止めた自己批判が形を成したような本庄。対照的に映し出される二郎と本庄は、宮崎監督自身の人生を二つの側面からとらえたものが表出した、ふたりでひとりの存在のようにも感じます。あるいは、ファンとしては二郎にとっての本庄が、宮崎監督にとっての高畑勲氏のような、考え方が異なるライバルであり、違う道筋を歩みながら同じ高みを目指す盟友でもある存在として描かれたのかもしれないなんて夢想もしてみたくなりますね。